「自粛をしている時に、何のために大津に来たのかをもう一度考えました」
「僕はプロになるために大津に来たんです」と語るように、中学時代はロアッソ熊本U-15でプレー。ユース昇格の声が掛かったが、宮原は「高校サッカーで全国制覇をしたいと思いましたし、県外ではなく地元の大津高のサッカーが好きだったので進学しました」と高校サッカーでさらなる成長を求めた。さらに熊本U-15の1学年上に荒木遼太郎がおり、彼は東福岡高から鹿島アントラーズに加入。大津高では2学年上の福島隼人(福島ユナイテッド)が高卒プロになっている姿を見て、その思いはさらに深まった。
「コロナの影響で自粛をしている時に、何のために大津に来たのかをもう一度考えました。自分と向き合って考えたときに、隼人さんと遼太郎さんの姿も刺激になったし、隼人さんからは『プロの日々は濃い』と言われ、大学の4年とプロの4年は全然違うと思いましたし、挑戦したいと思ったんです。それに大津はこれまで植田直通(セルクル・ブルージュ)さん、豊川雄太(セレッソ大阪)さん、一美和成(横浜FC)さん、野田裕喜(モンテディオ山形)さんと、高卒でJ1の名のあるクラブに行っている。僕もプロに行って先輩たちのように活躍するのがこれまでお世話になった方への恩返しだと思っています」
今、彼のサッカー観において、多大な影響を与えている選手がもうひとりいる。それはヴィッセル神戸の藤本憲明だ。
「藤本選手はプレー面では相手を背負ったり、裏に抜けたり、いろんな形で点が取れますし、一番共感ができるのはJFLから這い上がって来た選手だと言うことです。これまで相当どん底を経験しているでしょうし、それでもJ3、J2、J1と這い上がって来て、神戸というビッグクラブで堂々とプレーをしている。這い上がっていく選手は本当に力があると思うし、精神面も強くて、素直にすごいなと思うんです。だからこそ僕も今はプロのオファーがなくても、ここから這い上がっていきたいんです」
話をトライアウトに戻すと、彼は内に秘めた覚悟と意欲をピッチで存分に発揮した。1本目から周りに声を出してボールを要求し、何度もスプリントを繰り返して攻撃を活性化。鋭い切り返しからの強烈なシュートを放つなど、ゴールの予感を漂わせていた。
そして、前述した3本目の終了間際にMF松添大輝(V・ファーレン長崎U-18)のクロスに対し、「1回後ろに下がってDFの視界から消えてから前に行く動きを入れた」と見事なオフ・ザ・ボールの動きでゴール前に入って、きっちりとゴールネットを揺らした。
「もう今日は『俺を見てくれ!』と思っていました。ほとんどの人がこの時期にオファーがないと大学を選ぶかもしれませんが、僕はとにかくプロに行って、たとえ苦境に立たされてもあきらめずに自分のストロングポイントを生かしてやっていきたいし、とにかくお世話になっている人にも恩返ししたい。その姿を後輩たちにも示したいと思う。『プロをとことん目指すのも重要だぞ』ということを、身をもって示せるようになりたい」
果たして宮原のもとにオファーは届くのか。それは今後も追っていきたいが、まずはトライアウトというプレッシャーのかかる難しいステージで、自らの覚悟を結果で示した彼を心から讃えたい。全ては自分を信じて、やり切ることの大切さをサッカーに対して純粋な高校生から教えてもらった。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
【PHOTO】2020年の高校サッカー界を彩る主な注目選手!~九州編
「コロナの影響で自粛をしている時に、何のために大津に来たのかをもう一度考えました。自分と向き合って考えたときに、隼人さんと遼太郎さんの姿も刺激になったし、隼人さんからは『プロの日々は濃い』と言われ、大学の4年とプロの4年は全然違うと思いましたし、挑戦したいと思ったんです。それに大津はこれまで植田直通(セルクル・ブルージュ)さん、豊川雄太(セレッソ大阪)さん、一美和成(横浜FC)さん、野田裕喜(モンテディオ山形)さんと、高卒でJ1の名のあるクラブに行っている。僕もプロに行って先輩たちのように活躍するのがこれまでお世話になった方への恩返しだと思っています」
今、彼のサッカー観において、多大な影響を与えている選手がもうひとりいる。それはヴィッセル神戸の藤本憲明だ。
「藤本選手はプレー面では相手を背負ったり、裏に抜けたり、いろんな形で点が取れますし、一番共感ができるのはJFLから這い上がって来た選手だと言うことです。これまで相当どん底を経験しているでしょうし、それでもJ3、J2、J1と這い上がって来て、神戸というビッグクラブで堂々とプレーをしている。這い上がっていく選手は本当に力があると思うし、精神面も強くて、素直にすごいなと思うんです。だからこそ僕も今はプロのオファーがなくても、ここから這い上がっていきたいんです」
話をトライアウトに戻すと、彼は内に秘めた覚悟と意欲をピッチで存分に発揮した。1本目から周りに声を出してボールを要求し、何度もスプリントを繰り返して攻撃を活性化。鋭い切り返しからの強烈なシュートを放つなど、ゴールの予感を漂わせていた。
そして、前述した3本目の終了間際にMF松添大輝(V・ファーレン長崎U-18)のクロスに対し、「1回後ろに下がってDFの視界から消えてから前に行く動きを入れた」と見事なオフ・ザ・ボールの動きでゴール前に入って、きっちりとゴールネットを揺らした。
「もう今日は『俺を見てくれ!』と思っていました。ほとんどの人がこの時期にオファーがないと大学を選ぶかもしれませんが、僕はとにかくプロに行って、たとえ苦境に立たされてもあきらめずに自分のストロングポイントを生かしてやっていきたいし、とにかくお世話になっている人にも恩返ししたい。その姿を後輩たちにも示したいと思う。『プロをとことん目指すのも重要だぞ』ということを、身をもって示せるようになりたい」
果たして宮原のもとにオファーは届くのか。それは今後も追っていきたいが、まずはトライアウトというプレッシャーのかかる難しいステージで、自らの覚悟を結果で示した彼を心から讃えたい。全ては自分を信じて、やり切ることの大切さをサッカーに対して純粋な高校生から教えてもらった。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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