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【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田がミランでの将来について考える時が来た」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年02月25日

最も歓迎するシステムが採用されたのに良いことは何もなし…。

本田にはこの先、ポジションを取り返すチャンスも可能性も十分にあるだろうが、クラブの未来が見えない現状では、個人的に長期の展望を立てることは必要だ。 (C) Getty Images

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 これまで、本田はアレッシオ・チェルチと右ウイングのポジションを争うと思われていたが、そのポジション自体が消え去ってしまえば、ふたりともが干されてしまう危険がある。ちなみにチェゼーナ戦では、本田が90分間ベンチだったのに対し、チェルチは後半途中からとはいえ、セカンドトップとしてピッチに立っている……。
 
 インザーギ監督は、できるだけコンパクトにプレーできる形を探している。4-3-3はチームを3つに分断してしまった。4-2-3-1ではあまりにもディフェンスに偏りすぎる――。そこで、かつてミランが慣れ親しんだ2トップの後ろにトップ下を置くというシステムが登場した。カルロ・アンチェロッティ時代にミランがよく使っていた形だ。
 
 このシステムを採った狙いは2つ。攻守のバランスを取ることはもちろん、CF(マッティア・デストロ)に最高のボールを供給し、ジェレミー・メネーズにできるだけの自由を与えることである。その結果、サイドアタッカーは廃止された。
 
 問題は、インザーギ監督が本田だけでなく、ボナベントゥーラも高く買っていることだ。この25歳の若者は戦術的なインテリジェンスに優れ、またボールを持っていない場面でもトップの選手をよく助けている。
 
 本田の好むシステムを採用した先週末のミラン。しかし、本田にとっては何も良いことはなかった……。
 
 今後、インザーギ監督が再びシステムを変えて、サイドアタッカーを復活させる可能性はあるが、もう二度と戻さない可能性もある。そもそも、インザーギ監督自身がミランのベンチに、あとどのだけ座り続けるかさえ、はっきりとはしていない。
 
 今シーズンいっぱいは現体制が続くものといわれているが、その後、人事がどうなるかを予想するのは非常に難しい。つまり、ミランの未来は何もかもが不確かなのだ。そしてチームはこのままでは、来シーズンも欧州の舞台ではプレーできない可能性が高い。
 
 本田とミランの契約は2017年の夏までだが、1試合1試合で状況が変わるという現在のような状況は、選手にとってはかなり辛いはずだ(数か月間ならまだしも、終わりが見えない……)。
 
 本田には、長期的な展望が必要だ。この混沌のなかで、ミランが自分に何をしてくれるのか、自分がミランに対して何をもたらせられるか、そしてこの先、自分に重要な役割は与えられるのか否か――。本田には今、“考える”ことを勧めたい。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
 
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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