インパクトなしのデビュー戦も… 南野拓実が見せたチームへの献身

カテゴリ:ワールド

山口裕平

2015年02月16日

2月19日のヨーロッパリーグでは結果が求められる。

2月19日のEL決勝トーナメント1回戦で真価が問われる。生き残りへ早くも正念場を迎える。(C) Getty Images

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 もうひとつは、ザルツブルクがこの試合で「らしさ」を発揮できなかったことだ。この日の対戦相手ウィーナー・ノイシュタットは現在リーグ最下位のチーム。首位を走るザルツブルクとの戦力差は歴然としており、前半戦の二度の対戦(オーストリア・リーグは全チーム4回の総当たり)ではそれぞれ5-0、4-1で勝利していた。
 
 しかし、今回は引いた相手に攻めあぐねた。試合内容ではザルツブルクが圧倒していたことは間違いないが、なかなか得点を奪えなかったという点では、苦戦を強いられた印象も否めない。
 
 試合後、「失点をゼロに抑えたことには満足している」とヘッター監督はコメントしたが、前出『クーリエ』紙は「前半戦王者の2015年初戦
は平均的な出来だった」という見方を示した。
 
 前半は68パーセントのボール支配率を記録し11本のシュートを放ったものの、決定機を多く作りだしたわけではない。結局、南野がベンチに下がった後に生まれた先制点も直接FKからだった。
 
 国内リーグでは相手を圧倒する展開が多いザルツブルクだが、相手にゴール前をしっかりと固められるとなかなか打開するのは難しい。そもそも彼らの得意とするスタイルはボールをつないでじっくり相手を崩すことではなく、高い位置でボールを奪って素早く相手ゴールを目指すもの。そうしたスタイルを発揮するには、難しい試合だった。
 
 だが、この試合で南野はこの1か月で身に付けてきたものを確かに発揮した。デビュー戦では個人として結果を残すのと同時に、チームの一員として戦えるということも求められる。
 
 良い守備こそが良い攻撃につながると考えているヘッター監督が、まず南野に求めているのは素早い攻守の切り替えだ。インパクトこそ残せなかった南野だが、献身性を要する素早い攻守の切り換えは徹底した。少なくともザルツブルクの一員として戦う姿勢があることは示せたはずだ。
 
 ザルツブルクは国内リーグで、2位に勝点8差をつけており、戦いながらチーム作りを進めていく余裕がないわけではない。チーム内の競争は激しいが、新戦力の南野には引き続きチャンスが与えられていくはずだ。
 
 とはいえ、ザルツブルクは2月19・26日に、早くもビジャレアルとのヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦という山場を迎える。そこで結果を残してほしいというのが関係者の本音ではあるだろう。

取材・文:山口裕平
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