典型的なCFタイプのデストロを最も活かせるのは本田である。
とにかくインザーギ監督は、彼の信頼する選手を取り戻した。しかし、これからのミランがどうなっていくのか、予測を立てるのは非常に難しい。今の順位(21節終了現在で8位)ではチャンピオンズ・リーグ(CL)予選の出場権が手に入る3位という目標は、もはや現実的ではない。
良くてヨーロッパ・リーグ(EL)出場圏内にどうにか滑り込む、といったところだ。ELはCLに比べて、入ってくる金は格段に違うが、露出度はある程度ある。1年間ずっと国内でプレーしてきたミランにとって、スポンサーを納得させるためにも、EL出場は決して逃してはいけないものなのだ。
これを執筆するほんの数時間前、冬の移籍市場が閉まった。ミランの幹部たちは、ここでどうにか大物を獲得しようとしたが、いかんせん金がない。どうにか獲得した選手もほとんどがレンタル。売却できた選手が少なく、十分な資金を得られなかった。
現在、インザーギ監督のチームには、なんと31人もの選手がいる。コッパ・イタリアでも敗退してしまった今、プレーすべきゲームはリーグ戦しかないというのに、だ。この人数の多さは、後に問題になる可能性がある。
今冬に獲得した選手をまとめると、DF3人(ガブリエル・パレッタ、サルバトーレ・ボケッティ、ルカ・アントネッリ)、FW3人(マッティア・デストロ、スソ、チェルチ)となる。なぜか、レベルアップのために最も補強が必要だったMFはひとりも獲得していない……。
さて、新加入の選手のなかで、チェルチについてはすでに先週も触れた。スソはリバプールから加入したが、彼がミランで自分の居場所を手に入れるのはかなり難しいだろう。ちなみに彼もまた右サイドのアタッカーだ。果たしてミランの幹部は、ポジションのことを考えて選手を獲得しているのだろうか?
チェルチ以降で、一番の補強の目玉となったのは、ローマからやって来たデストロだ。典型的なCFで、これまでセリエAで決めた38ゴールのうち、実に36がペナルティエリア内でのシュートである。つまり彼が活躍するには良いクロスを上げてくれるチームメイトが必要ということだ。
仲間の手助けも何もいらず、ただ自分だけでゴールへ向かうジェレミー・メネーズとは正反対のタイプであるこの新加入選手にとって、本田はとても重要な存在となるはずである。
大切なのは一日も早く、お互いのプレーを理解することである。デストロは仲間にボールが欲しいタイミングを知らせるのがうまいし、本田は仲間の動きをよく読む。ふたりの息が合う要素は揃っている。
コッパ・イタリアでのラツィオ戦に敗れたら、インザーギ監督は更迭されるといわれていたが、シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーとアドリアーノ・ガッリアーニ副会長の話し合いの結果、今のところそれはなくなった。
インザーギ監督が、今もミランのベンチに座り続けていられるのは、シーズン序盤戦の本田の6ゴールがあったおかげと言っても過言ではない。クラブの幹部たちはインザーギ監督に、開幕当時のチームを取り戻すよう求めている。ということは、つまりミランには何よりも本田の復調が必要なのである。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
良くてヨーロッパ・リーグ(EL)出場圏内にどうにか滑り込む、といったところだ。ELはCLに比べて、入ってくる金は格段に違うが、露出度はある程度ある。1年間ずっと国内でプレーしてきたミランにとって、スポンサーを納得させるためにも、EL出場は決して逃してはいけないものなのだ。
これを執筆するほんの数時間前、冬の移籍市場が閉まった。ミランの幹部たちは、ここでどうにか大物を獲得しようとしたが、いかんせん金がない。どうにか獲得した選手もほとんどがレンタル。売却できた選手が少なく、十分な資金を得られなかった。
現在、インザーギ監督のチームには、なんと31人もの選手がいる。コッパ・イタリアでも敗退してしまった今、プレーすべきゲームはリーグ戦しかないというのに、だ。この人数の多さは、後に問題になる可能性がある。
今冬に獲得した選手をまとめると、DF3人(ガブリエル・パレッタ、サルバトーレ・ボケッティ、ルカ・アントネッリ)、FW3人(マッティア・デストロ、スソ、チェルチ)となる。なぜか、レベルアップのために最も補強が必要だったMFはひとりも獲得していない……。
さて、新加入の選手のなかで、チェルチについてはすでに先週も触れた。スソはリバプールから加入したが、彼がミランで自分の居場所を手に入れるのはかなり難しいだろう。ちなみに彼もまた右サイドのアタッカーだ。果たしてミランの幹部は、ポジションのことを考えて選手を獲得しているのだろうか?
チェルチ以降で、一番の補強の目玉となったのは、ローマからやって来たデストロだ。典型的なCFで、これまでセリエAで決めた38ゴールのうち、実に36がペナルティエリア内でのシュートである。つまり彼が活躍するには良いクロスを上げてくれるチームメイトが必要ということだ。
仲間の手助けも何もいらず、ただ自分だけでゴールへ向かうジェレミー・メネーズとは正反対のタイプであるこの新加入選手にとって、本田はとても重要な存在となるはずである。
大切なのは一日も早く、お互いのプレーを理解することである。デストロは仲間にボールが欲しいタイミングを知らせるのがうまいし、本田は仲間の動きをよく読む。ふたりの息が合う要素は揃っている。
コッパ・イタリアでのラツィオ戦に敗れたら、インザーギ監督は更迭されるといわれていたが、シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーとアドリアーノ・ガッリアーニ副会長の話し合いの結果、今のところそれはなくなった。
インザーギ監督が、今もミランのベンチに座り続けていられるのは、シーズン序盤戦の本田の6ゴールがあったおかげと言っても過言ではない。クラブの幹部たちはインザーギ監督に、開幕当時のチームを取り戻すよう求めている。ということは、つまりミランには何よりも本田の復調が必要なのである。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。