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指導者は“クラック”を生むために何をすべきか――【元アルゼンチン代表DFの手記/最終章】

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年05月26日

プラセンテが考える“クラック”の育て方

アルゼンチンのU-15代表を率いるプラセンテ(右)が考える育成で重要な点とは? (C) Getty Images

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 ボギーや他の友人たちをはじめ、多くの青年たちが、ほんのわずかな誘惑をキッカケに、プロへの道から逸れてしまう話は、サッカー界で生きている者にとってはよくあることだ。

 だから、いかなるコーチも、スカウトも、代理人も、育成指導者も、彼らの発掘者なんていう肩書を独り占めすることはできない。「クラック(名手)」と呼ばれる選手というのは、自力で作られるものなんだ。

 誰もが成長し、生きて、楽しみ、争い、努力しながら精一杯に生き延びる。そして、才能と欠点をさらけ出しながら、この世界で生き残るために必要なありとあらゆるものを、自分が暮らす環境と日常の現実から吸収して行く。有望な選手たちは、地元のサッカーや友達、草サッカーで対戦したライバルたちから学んで行くんだ。

 15歳で「クラック」の称号を課される選手を育成するためには、もっと別の形で助けてあげるべきだ。彼らをしっかりと支え、戦術的なコンセプト以上に心のサポートをしてあげないといけないんだ。
 

 選手がプロを目指して歩む道に付き添う時、才能の必要性はもちろん、規律を教えることも大切だ。

 夢を達成させるためには、時にNO(ノー)と言える節度と勇気を持たなければならないと理解させること。ハイレベルな勝負の世界とは両立できない無数の誘惑に対して、手遅れになる前に歯止めをかけられるようにすること。そうでなければ、遅かれ早かれいつかはその代償を払うことになる。

 蟻のように働き、ライオンの心を持つ(※「こつこつ努力を続け、強く勇敢な気持ちを持つ」ことを意味する)。そうすれば、我々も忘れられた下部組織のクラックたちのプレーをもっと楽しめるはずだ。僕ら仲間がどうやって付き添ってやればいいかわからなかったばかりに、道の途中で立ち止まってしまったボギーたちのような名手たちを、ね。

 どの時点でなぜ、彼らを助け、支え、良い方向に導いてやれなかったのかと自問してみるといい。彼らを失ってしまったのは、一体いつだったのだろうと。

文●ディエゴ・プラセンテ(現アルゼンチンU-15代表監督) text by Diego Placente
コーディネート●クリスティアン・グロッソ coordination by Cristian Grosso / La Nacion
訳●チヅル・デ・ガルシア translation by Chizuru de GARCIA

※『サッカーダイジェストWeb』は、『ラ・ナシオン』紙の許諾を得たうえで当記事を翻訳配信しています。
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