アジアカップ2015

レギュラーCBの離脱で先発濃厚の吉田麻也 クーマン監督の信頼を得られるか

カテゴリ:ワールド

田嶋コウスケ

2015年01月28日

「来たボールを確実に跳ね返す」ことができるか。

「力強さ」と「堅実さ」が、レギュラー奪取の鍵だ。 (C) Getty Images

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 では、そのためのポイントは――。
 
 イングランドでは、他国に比べてCBに堅実で力強いプレーを求める傾向が強い。ロングボールに競り負けない高さ、1対1で当たり負けない強さ。敵に寄せるかステイするか、その判断の正しさも重要だ。要求される動きを簡潔に表現するなら、「来たボールを確実に跳ね返すこと」だろう。
 
 もちろん、ビルドアップやラインコントロール、ボールテクニックも最終ラインを支える上で大事な要素だが、それらは敵をねじ伏せる力強さやミスをしない堅実さという下地があってこそ評価されるプレーだ。とにかく、敵の攻撃を真っ向から押さえつけることが重要視されるのである。
 
 かつてはアーセナルでプレーした元イングランド代表のソル・キャンベル、現在ではウェールズ代表でスウォンジーのアシュリー・ウィリアムズといった、まるでラグビー選手のような屈強な肉体を持つDFが高く評価されることでも、そうした傾向がうかがえるだろう。
 
 実際、吉田が最も評価されたのは、加入1年目の2012−13シーズンだったように思う。ナイジェル・アドキンス監督(当時)率いるサウサンプトンは、開幕直後から最下位に低迷。すると、従来のポゼッションサッカーから離れ、“引いて構える”守備重視のプレースタイルに舵を切った。
 
 そのなかで吉田は、「相手が最後の狙いとして出すボールに意識を集中」し、シンプルに相手の攻撃を跳ね返すプレーを徹底。そうすることでプレーや動きに迷いがなくなり、堅実なディフェンスで敵の攻撃を潰していった。
 
 欧州やアフリカの選手に比べ、日本人DFは体格面でハンデがある。だがその点でも吉田は、読みの巧さを生かして素早くパスコースに入ったり、競り合いでは一度相手に身体を軽くぶつけてからジャンプしたりと、工夫をこらして優位性を保とうとしている。
 
 もちろん、こうした技術もこれまでプレーしたオランダやイングランドで培ったもの。欧州で積み重ねた経験を武器に、いかにタイトで安定した守備を披露できるか。来たボールを確実に跳ね返すことができるか。成否を分けるのはここだろう。
 
 振り返れば、2012年の入団記者会見で、吉田は次のように語っていた。
「日本人センターバックとして、これまでになかった前例を作ることができるのは、すごく誇りに思う。ただ、(他の選手が)やっていないことだからこそ、いろいろと困難があると思う。大変だけど、やりがいのある仕事。そう受け止めてやりたい」
 
 クラブ広報によれば、吉田は27日のトレーニングからチームに再合流した。日本代表では志半ばでアジアカップを後にすることになったが、サウサンプトンとの契約を3年延長した吉田の挑戦は、プレミアの舞台でこれからも続く、いや、これからが本番だろう。
 
文:田嶋康輔
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