献身的な姿勢、連係、コンディション…本田が優位な点は多い。
両選手を高く評価しているインザーギ監督にとっては、占いでその日のスタメンを決めても問題ない、と言ってもいいぐらいだ。
チェルチには1対1で敵を抜き去る力があり、その動きは予測不可能、さらにスペースに入り込んでシュートを放つことにかけては、天性の素質がある。対する本田は、常に全力を尽くし、プレーのビジョンに優れ、守備においてもその能力と労力を費やすことができる。
それぞれ特徴は異なるが、どちらもインザーギ監督にとっては使える選手だ。もし今後もインザーギ監督がベンチに座り続けることができたらならば、おそらくは毎試合、どちらがプレーするかが話題にされることだろう。
そんなチェルチと本田だが、ひとつ共通した高い能力がある。それはFKやCKといったプレースキックに優れていることだ。本田のいない間は当たり前のようにチェルチが蹴っていたが、本田が帰ってきた今、どっちがキッカーを務めるかも注目されるだろう。もちろん試合の状況によって、ふたりを使い分けるというやり方もあるはずだ。
とにかく、全ては本田自身の今後の頑張りにかかっている。ただチームワークという点においては、本田のほうが有利だろう。本田はチームメイトたちにとって、すでに長いこと共に試合や練習で時間を過ごしてきた仲間であり、気心も知れている。
先日のミラン対アタランタ戦の後半、あまりにも相手DFの後ろに隠れてしまっていると、イグナツィオ・アバーテがキツイ語調でチェルチを怒鳴りつけたのだが、チェルチもそれに負けずに、激しく言い返している。こうした諍いは、これまで右サイドでは見られなかったものだ。
読者の皆さんもよくご存知のように、開幕直後のアバーテと本田のコンビは息がぴったりで、互いのプレースタイルも性格もすっかり理解しているという感じだった。
現時点での本田のフィジカルコンディションは、チェルチより確実に上だろう。前述の通り、チェルチはマドリーではほとんど使ってもらえなかった。4か月間でプレーした試合は9。それも途中出場が多く、時間に換算するとたったの249分である。
それに比べ、本田は開幕からほとんどレギュラーとしてプレーしてきたし、アジアカップの間も、試合はもちろん、それ以外でも練習は欠かさなかったはずだ。
メンタル面では、アジアカップで思うような結果を残せなかったという強い怒りと痛みが心のなかを占めているだろうが、これら負の感情をポジティブなパワーに変換し、それをミランで発揮してほしい。
そして今シーズンの序盤戦で見せたようなパフォーマンスを再現してくれれば、本田はミランにとってもはや絶対に欠かせない選手となるだろう。そして、ミランもミラニスタも、それを期待している。
前回、ミラニスタは日本代表がアジアカップで優勝するよう応援すべきだと書いたが、今となってみればやはり、予定より早く“サムライ”がミラノに戻ってきてくれたことは、ミランにとって朗報であると言えるだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
チェルチには1対1で敵を抜き去る力があり、その動きは予測不可能、さらにスペースに入り込んでシュートを放つことにかけては、天性の素質がある。対する本田は、常に全力を尽くし、プレーのビジョンに優れ、守備においてもその能力と労力を費やすことができる。
それぞれ特徴は異なるが、どちらもインザーギ監督にとっては使える選手だ。もし今後もインザーギ監督がベンチに座り続けることができたらならば、おそらくは毎試合、どちらがプレーするかが話題にされることだろう。
そんなチェルチと本田だが、ひとつ共通した高い能力がある。それはFKやCKといったプレースキックに優れていることだ。本田のいない間は当たり前のようにチェルチが蹴っていたが、本田が帰ってきた今、どっちがキッカーを務めるかも注目されるだろう。もちろん試合の状況によって、ふたりを使い分けるというやり方もあるはずだ。
とにかく、全ては本田自身の今後の頑張りにかかっている。ただチームワークという点においては、本田のほうが有利だろう。本田はチームメイトたちにとって、すでに長いこと共に試合や練習で時間を過ごしてきた仲間であり、気心も知れている。
先日のミラン対アタランタ戦の後半、あまりにも相手DFの後ろに隠れてしまっていると、イグナツィオ・アバーテがキツイ語調でチェルチを怒鳴りつけたのだが、チェルチもそれに負けずに、激しく言い返している。こうした諍いは、これまで右サイドでは見られなかったものだ。
読者の皆さんもよくご存知のように、開幕直後のアバーテと本田のコンビは息がぴったりで、互いのプレースタイルも性格もすっかり理解しているという感じだった。
現時点での本田のフィジカルコンディションは、チェルチより確実に上だろう。前述の通り、チェルチはマドリーではほとんど使ってもらえなかった。4か月間でプレーした試合は9。それも途中出場が多く、時間に換算するとたったの249分である。
それに比べ、本田は開幕からほとんどレギュラーとしてプレーしてきたし、アジアカップの間も、試合はもちろん、それ以外でも練習は欠かさなかったはずだ。
メンタル面では、アジアカップで思うような結果を残せなかったという強い怒りと痛みが心のなかを占めているだろうが、これら負の感情をポジティブなパワーに変換し、それをミランで発揮してほしい。
そして今シーズンの序盤戦で見せたようなパフォーマンスを再現してくれれば、本田はミランにとってもはや絶対に欠かせない選手となるだろう。そして、ミランもミラニスタも、それを期待している。
前回、ミラニスタは日本代表がアジアカップで優勝するよう応援すべきだと書いたが、今となってみればやはり、予定より早く“サムライ”がミラノに戻ってきてくれたことは、ミランにとって朗報であると言えるだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。