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運命のイラク戦、ラモスは「俺じゃなく中山を選んだ。その決め手は…」【福田正博が語る“オフトジャパンの真実”EP5】

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年05月13日

オフト監督曰く「イラクは危険なチーム」だった

ラモス(写真)が中山に送ったラストパスについて、福田は独自の見解を持っている。写真:サッカーダイジェスト

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 10月25日に行なわれた4戦目の韓国戦。福田がピッチの外から眺めるなか、日本は前半から気迫十分のパフォーマンスを披露する。そして59分にカズが奪った1点を死守し、残り1試合でサウジアラビアと同勝点ながらも得失点差で上回り首位に躍り出た。この時のチームの雰囲気を、福田はこう説明する。

「状況が一変した。見えてきたでしょ。韓国に勝って『行けるんじゃないか』って空気になった。チームに笑顔がなく、半分死にかけていたところから這い上がって、良い雰囲気になった。ただ、イラクが強いことはみんなが理解していた」

 最終予選を迎えるにあたり、オフト監督はイラクの情報をほとんど持ち合わせていなかった。ただ、「おそらく(最終予選で)一番強いだろう」という予測はついていたオフト監督にとって幸運だったのは、データを収集できるという意味でイラクとの試合が最終戦だったことだ。そして、最終予選で得たそのデータによって指揮官が導き出した答は、「やはりイラクは危険なチーム」だった。

 なお、イラク戦を前にした最終予選の順位は以下の通りだった。1位が日本(勝点5/2勝1分1敗/得失点差+3)、2位がサウジアラビア(勝点5/1勝3分/得失点差+1)、3位が韓国(勝点4/1勝2分1敗/得失点差+2)、4位はイラク(勝点4/1勝2分1敗/得失点差0)、5位はイラン(2勝2敗/得失点差-2)、6位は北朝鮮(勝点2/1勝3敗/得失点差-4)。
 
 当時は勝利が勝点2で、勝点で並んだ場合は得失点差、総得点、当該国間の順で順位を決定していた。最下位の北朝鮮以外の5か国が勝点1差にひしめく大混戦で、その5か国にアメリカ行きのチャンスが残されていた。ちなみに、最終戦のカードは、日本対イラク、サウジアラビア対イラン、韓国対北朝鮮だった。

 10月28日、勝てば他会場の結果に関係なく日本のワールドカップ初出場が決まる“運命のイラク戦”が、アル・アハリ・スタジアムでキックオフの時を迎えた。4-3-3システムで臨んだ日本のスタメンは以下のとおり。GKが松永成立、4バックは右から堀池巧、柱谷哲二、井原正巳、勝矢、ダブルボランチが吉田光範と森保一で、トップ下がラモス、3トップは右から長谷川、中山、カズだった。福田はこの日もベンチスタートだった。

 開始5分、試合はいきなり動く。長谷川のシュートがクロスバーを直撃。跳ね返ったボールをカズがヘッドで押し込み、日本が先制したのだ。

 これ以上ないスタートを切った日本だが、その後は苦戦を強いられる。ベンチで眺めていた福田もイラクの強さ、勢いを肌で感じていた。

「先制されたあとのイラクはもの凄い勢いで攻めてきた。3点、4点くらい奪われていてもおかしくない展開だった。イラクは本当に強かった」
 
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