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謎の吐き気と下痢。自分の身体ではないような感覚に襲われ…【福田正博が語る“オフトジャパンの真実”EP3】

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年05月12日

空前のサッカーブームが到来したなかで

かつてないほどのマスコミの数に圧倒される。正直、「平常心を保てなかった」。写真:サッカーダイジェスト

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 当時の1次予選はホーム&アウェー方式ではなく、ダブルセントラル方式(第1ラウンドを東京、第2ラウンドをUAEのドバイで開催)。最初の4試合を東京、残り4試合をドバイで戦う日本が1次予選を突破するにはホームで全勝できるかが大きなポイントで、その意味でタイ戦の勝利(1-0)の価値は計り知れないものがあった。

 実際、4月11日に行なわれた2戦目でバングラデシュを8-0と一蹴すると、続くスリランカ戦(4月15日)も5-0と大勝。そして“大一番”と目されたUAE戦(4月18日)を柱谷哲二と高木琢也のゴールで制した日本は、ドバイ・ラウンドでもタイに1-0、バングラデシュに4-1、スリランカには6-0と順調に白星を積み重ねていった。

 残り1試合で、首位の日本は2位のUAEに勝点で「2」、得失点で「11」の差をつけていた。UAEとの直接対決を前に大きなアドバンテージを得ていた日本は、この1次予選の最終戦(5月7日)を1-1で乗り切り、93年10月にスタートする最終予選へと駒を進めた。

 オフトジャパンの航海は順調のように見えた。ただ、この時すでに福田は大きなアクシデントに襲われていた。

「俺自身にとって、中東遠征は初めての経験だった。実は、UAE戦の前に体調を崩した。何に当たったのか、原因に心当たりがないんだけど、とんでもないコンディションになった。酷い下痢と吐き気に襲われて、とても試合ができる状態ではなかった。チームに帯同していたドクターに『絶対に先発で使うから努力してくれ』みたいなことを言われたけど、試合の前々日からほとんど動けなくて、練習もしないままバスで試合会場に行った。しかも、結構遠かったんだよ、そのスタジアムが。どうにかコンディションを整えようとみんなより早くウォーミングアップした。でも、暑いし、なんだかふわふわしているし、まるで自分の身体じゃないような感覚に襲われていた。UAE戦は結局、後半の途中に代わった。オフトはよく使ったよね、この時の俺を」

 謎の吐き気、下痢……、原因が分からない。一種の混乱によって、福田は中東に対してコンプレックスみたいなものを抱くようになる。

「食べ物はもちろん、歯磨きにもナーバスになって。それが自分の中で大きな問題になっていた。中東に対してコンプレックスというか、過敏になっていて、今でも行きたくないと思うぐらい。最終予選に向けて、それがトラウマになったのは事実だね」
 
 ドバイから帰国した福田を待っていたのは、“過酷な日々”だった。1次予選後に開幕したJリーグによって空前のサッカーブームが到来。これを一過性のものにしてはいけないという使命感もあった福田は、コンディションが悪くても試合に出続けた。在籍クラブの浦和ではチームに不可欠な存在で、点滴を打って臨むゲームも結構あった。

 当時、日本代表でも主力を張っていた福田はJリーグ屈指のスター選手。ファン・サポーターからはもちろん、メディアの人間からも相当期待されていたが、それがかえってプレッシャーになった。しかも、当時のJリーグは週2試合のペースで、延長Vゴール方式(延長に入ったら先にゴールを奪ったほうが勝ち)、それで決着がつかなければPK戦と超ハード。心身ともに万全からは程遠いコンディションにあった。
 
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