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7年間勝てなかった韓国に…。オフトマジックの正体【福田正博が語る“オフトジャパンの真実”EP2】

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年05月11日

オフト監督のやり方に従えば…

アジアカップでも福田は躍動。トップ下気味のポジションで持ち味を発揮した。写真:サッカーダイジェスト

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 オフト監督の片腕として良い仕事をしていたのが、コーチの清雲栄純だ。指揮官と選手の間に入って、チームの調和を整える。オフトジャパンにとって、清雲は不可欠なバランサーだった。当時、全体トレーニングのあとの自主練を巡って揉めた時があった。「自主練はするな」という監督に対し、「なぜだ?」と反発する一部の選手たち。それで1~2時間も話し合いになると、清雲が「とりあえず監督はああ言っている。じゃあ、20分間だけ自主練をやろう。それ以上はやらない。これでどうだ?」と双方が納得できるような落としどころを決めていたのだ。

 だからといって、この名参謀の存在がダイナスティカップ制覇の決め手となったわけではない。やはり特筆に値したのは、オフト監督の手腕。その凄さを福田は肌で感じていた。

「オフトはオランダ人だけど、マツダ(現サンフレッチェ広島)で監督をやっていて日本の文化、日本人の特徴を理解していた。そんなオフトが素晴らしいのは、当時、日本人が気づいていなかった日本人の良さを気付かせてくれたこと。オフトは外国人だからね、日本人には見えないものが見えていた。韓国との試合に臨む際は、相手の良いところ、悪いところ、日本の良いところ、良くないところ、そういうものを総合的に考えて、組織力でボールを動かす戦い方に行き着いている。韓国に負けないためにどうすべきか、彼は分かっていたんだ」

 横山謙三が代表監督だった前体制とほぼ同じメンバーなのに、オフト監督が指揮した半年間で韓国との実力差は一気に縮まった。いや、福田に言わせれば「逆転していた」。

「オフトが就任するまで韓国には7年間勝ってない。でも、ダイナスティカップでは2試合とも日本が押し気味に戦っていた。『これはなんなの?』って話だよね。日本人の良いところを見極めて、それをしっかりと引き出してくれたのがオフトだった。日本人が見失っていたものを、改めて気づかせてくれた。オフトは世界のサッカーの流れも知ったうえで、日本の良さも十分に理解していたから就任から短期間で結果を出せたんだ」
 
 ダイナスティカップ制覇後、オフトの求心力が高まっていく。この監督のやり方に従えばワールドカップ出場も夢ではないのではないか。そう考える選手が増えてきたのだ。この段階でもまだ反発するプレーヤーがいたのも事実だが、92年10月に広島で開催されるアジアカップに向けてチームはひとつにまとまっていくのだった。

 迎えたアジアカップでも日本は快進撃を見せる。UAEとのグループリーグ初戦(10月30日/0-0)、2戦目の北朝鮮戦(11月1日/1-1)こそ引き分けだったが、続くイラン戦をカズの劇的な決勝弾でモノにしてベスト4に進出。そして準決勝で中国を打ち合いの末に3-2で下すと、決勝ではサウジアラビアを高木琢也のゴールで撃破した。オフトマジック──。その手腕を称えてメディアはこう呼んだが、オフト監督は難しいことをしたわけではない。福田が次のように述懐する。

「オフトが優れていたのは役割を徹底したこと。ポジション毎にね。ミーティングでスタメンを発表する時に、一人ひとりの役割をしっかり説明していた。個人に責任を与えて、試合後に評価を下す。すると、選手たちもそれぞれ目標が明確になる。なんのためのトレーニングなのか、直面した課題をどう解消するか。そういうものが見えてくるようになる。今は当たり前かもしれないけど、30年前は画期的に映った。オフトの指導のおかげで、俺はすごく整理がついたし、混乱せずに済んだ」
 
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