「乾貴士の登場でもはや“鬼門の地”では…」スペイン人記者が見たラ・リーガの歴代日本人選手【現地発】

カテゴリ:海外日本人

アレハンドロ・アロージョ

2020年05月10日

久保の堂々たるプレーぶりは日本人という括りがなくても高い評価に

ヘタフェに続き新天地のデポルティボでも本領を発揮しきれていない柴崎。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

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 今シーズン、ラ・リーガ1年目ながら、その乾をも上回る小さくないインパクトを放っているのが、レアル・マドリーからマジョルカへレンタル中の久保建英だ。幼少期にラ・マシア(バルセロナの下部組織の総称)で過ごした経験がプラスに働いているのは間違いない。ただ弱冠18歳で一線級の選手に交じってもまるで物怖じしない堂々たるプレーぶりは、日本人選手という括りを抜きにしてでも、高い評価に値する。

 最大の武器は、敏捷性と器用さを活かしてボールが足に吸い付いているかのように内からも外からも変幻自在に仕掛けるドリブルだ。フィジカルは成長段階にあるが、守備の献身性も光る。すべてを支えているのが日々貪欲に学んでいこうとするひたむきな姿勢であり、マジョルカで確実に進化を遂げている。
 
 実力があっても、プレーする環境によって大きく左右される選手がいる。柴崎岳はその典型的なケースだろう。彼もまた日本サッカーの成長を実証する選手で、鹿島アントラーズ時代のクラブワールドカップでの活躍を置き土産に2017年冬の市場で2部のテネリフェに移籍。その前評判通りに一旦レギュラーに定着するとチームの昇格プレーオフ進出に貢献と、ここまでは順風満帆だった。

 しかし同年夏のヘタフェへの移籍を境に、そのキャリアは停滞気味だ。怪我や守備を重視するホセ・ボルダラス監督が採用するチーム戦術との相性の悪さも重なり、2シーズンに渡り、ベンチ生活が続いた。巻き返しを期して、昨夏にカテゴリーを落としてまでデポルティボへの移籍に踏み切った。今度こそ活躍が期待されたが、その新天地でももがき苦しんでいる。

 ここまで19試合に出場し、そのうち18試合でスタメン出場とチーム内で与えられているのは主軸としての役割だ。とりわけクリスマスブレイク期間中のフェルナンド・バスケスの監督の就任が転機となって2ボランチの一角としてスタメンに復帰し、期待感が高まった時期もあった。しかし本職の中盤でプレーしていると言っても、その実は背後をカバーするパートナーと縦の関係を構築する場面が多く、ビルドアップの起点になるというよりも、高めのポジションを取りながら攻撃を加速させる役割に終始している。

 ポジションを常に調整しながら、ライン間で縦パスを引き出そうと幅広く動き回っているが、指揮官の求めるダイレクトなサッカーと柴崎の特徴がうまく噛み合っていないのが現状だ。図らずもチーム戦術とのアンマッチというヘタフェ時代から直面している問題をデポルティボでも引きずってしまっている。ロシアW杯でも証明したように、司令塔型のMFとしての実力は確かだが、スペインではその特別な個性を輝かせる舞台を今なお発見できずにいる。
 

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