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「諦めたら終わりだろ…」苦境にあった元アーセナル戦士が浅草のファミレスで語った“本音”【取材記】

カテゴリ:ワールド

羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

2020年05月08日

ビールを一口飲んでからエブエが放った言葉は?

インタビューをした当時は、アーセナルでの栄光はすでに過去のものとなっていた。 (C) Getty Images

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 エブエのスケジュールがはっきりしていなかったため、前もって場所を抑えられず、近くのファミレスで行なうしかなかった。前代未聞のインタビューに、「こういう形で受けるのは初めてだよ」と皮肉られたのを覚えている。だが、豊富なメニューに目を凝らし、ビールをチョイスした姿を見て、なぜかホッとした気分になった。

 もう何が起きても驚かないような展開で始まったインタビューで、アーセン・ヴェンゲルやヴァヒド・ハリルホジッチといったこれまで師事してきた指揮官たちのことやワールドカップの思い出など、実に様々なことを聞いた。

 そんなインタビューの最中に気になったことがあった。滲み出る言葉がポジティブだったからだ。当時は無所属で、移籍先も決まっていなかった状況からは考えられないほど前向きだったのだ。ゆえに思わず問いかけた。

「なぜそんなにポジティブなんですか?」
 ビールを一口飲んでから鋭い目線をこちらに向けたエブエは、「インタビューでそういうことを聞かれるのは初めてだね。良い質問だ」と話し、こう切り出した。

「今もそうだけど、諦めたらそこで終わりだろ。常にポジティブにいたいと思っているし、そうでなかったら僕は自分自身を殺すことになる。11歳の時に父を亡くしてから、常に人生は良い方向に向くと考えるようになった。人生は何が起きるかよりも、前向きに生きることが大事なんだ」

 世界屈指の競争力を誇るプレミアリーグの強豪アーセナルで、6年ものキャリアを培ったプロフェッショナルの“真髄”に触れた気がした――。

 あれから時は過ぎたが、いまもエブエに関する情報は自然と気にはしている。だが、離婚で無一文になり家や財産を失ったことなど、目にするのは良くないニュースばかりだ。あの時、「全てを神の手に委ねている」と笑顔で語っていた36歳は、今どこで何をしているだろうか。

文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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