2度目の“大転換”は…
極端なマンマークは、弊害もあった。象徴的だったのが12節、ホームの大分戦。マークの受け渡しが上手くいかず、55分、CBの大井健太郎とキム・クナンが浮き球の処理を巡って激突。ともに頭部を切って、同時に交代する緊急事態が起こる。
代わったCBの坪内秀介、濱田水輝も、タイトにマークに付く。すると今度はふたりのCBがそれぞれ相手に付きすぎるあまり、ゴール前にぽっかりとスペースが空き、そこを使われあっさり失点。2-3で敗れてしまう。
それから数週間後、2度目の“大転換”が起きた。
リーグが中断していた、秋田・仁加保キャンプでのことだった。トレーニング中に柳下監督が、突然、「マークを受け渡していいよ」と言い出したのだ。にわかに困惑する選手たち。それを見越してか、「だって、受け渡して守る方が楽だし、合理的だろ?」と選手たちを煙に巻く指揮官。
いずれにせよ、その時、厳しく間合いを詰める出足が失われなかったことが大きい。こうしてアグレッシブに守備をはめ、ボールを奪って仕掛ける速攻が鋭さを増していく。
代わったCBの坪内秀介、濱田水輝も、タイトにマークに付く。すると今度はふたりのCBがそれぞれ相手に付きすぎるあまり、ゴール前にぽっかりとスペースが空き、そこを使われあっさり失点。2-3で敗れてしまう。
それから数週間後、2度目の“大転換”が起きた。
リーグが中断していた、秋田・仁加保キャンプでのことだった。トレーニング中に柳下監督が、突然、「マークを受け渡していいよ」と言い出したのだ。にわかに困惑する選手たち。それを見越してか、「だって、受け渡して守る方が楽だし、合理的だろ?」と選手たちを煙に巻く指揮官。
いずれにせよ、その時、厳しく間合いを詰める出足が失われなかったことが大きい。こうしてアグレッシブに守備をはめ、ボールを奪って仕掛ける速攻が鋭さを増していく。
左クロスに対し、ニアに飛び込んで合わせる形を確立した川又は、エースストライカーへと駆け上がり、結果的に23得点を挙げ、リーグ得点ランキング2位となる。ボール奪取から1本のパスで速攻のスイッチを入れるレオ・シルバ、エネルギッシュに中盤を動き回り、チャンスをお膳立てする田中亜らの好パフォーマンスもあり、シーズン後半、チームは一気に上昇気流に乗った。
そして迎えた33節。相手は優勝が懸かった首位の横浜だった。
6万2000人を越える大観衆で埋め尽くされた日産スタジアムは、9年ぶりのリーグ優勝への期待ではち切れんばかりに盛り上がっていた。だが、後に新潟でプレーすることになる富澤清太郎(17~18年、新潟に在籍)は、試合が始まると、「これは難しくなる」と悟ったという。
「その年のマリノスは本当に強くて、どんな相手、展開でも、自分たちの勝ちに持って行けた。だからこそ、あの時の新潟の強さがすぐに理解できた。川又堅碁と田中達也の2トップがものすごい形相でボールを取りに来て、何とかそれをかわしても、後ろで待ち受けるレオ・シルバにボールを奪われる。奪われたボールは素早く展開される。『こりゃあ、勝てねえな』、そんな感覚にさせられたチームは、あの年は新潟以外にはなかった」
拮抗した展開の末に、後半、川又、鈴木武蔵のゴールで2-0と完勝する。
わずか1年前、必死の守備でしのいで、何とか勝点を積み上げていたスタイルから一転。13年のチームは終盤5連勝、7位という、ここまでクラブ史上2番目の好成績でシーズンを終えた。極端なまでのマンマークというはしごが、突然、外された時、躍動する選手たちのダイナミズムが、見る者の記憶と記録に刻まれた。
取材・文●大中祐二(フリーライター)
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そして迎えた33節。相手は優勝が懸かった首位の横浜だった。
6万2000人を越える大観衆で埋め尽くされた日産スタジアムは、9年ぶりのリーグ優勝への期待ではち切れんばかりに盛り上がっていた。だが、後に新潟でプレーすることになる富澤清太郎(17~18年、新潟に在籍)は、試合が始まると、「これは難しくなる」と悟ったという。
「その年のマリノスは本当に強くて、どんな相手、展開でも、自分たちの勝ちに持って行けた。だからこそ、あの時の新潟の強さがすぐに理解できた。川又堅碁と田中達也の2トップがものすごい形相でボールを取りに来て、何とかそれをかわしても、後ろで待ち受けるレオ・シルバにボールを奪われる。奪われたボールは素早く展開される。『こりゃあ、勝てねえな』、そんな感覚にさせられたチームは、あの年は新潟以外にはなかった」
拮抗した展開の末に、後半、川又、鈴木武蔵のゴールで2-0と完勝する。
わずか1年前、必死の守備でしのいで、何とか勝点を積み上げていたスタイルから一転。13年のチームは終盤5連勝、7位という、ここまでクラブ史上2番目の好成績でシーズンを終えた。極端なまでのマンマークというはしごが、突然、外された時、躍動する選手たちのダイナミズムが、見る者の記憶と記録に刻まれた。
取材・文●大中祐二(フリーライター)
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