FC東京に残る「J2降格の傷」。当時、石川が吐き捨てたひと言が…

カテゴリ:Jリーグ

馬場康平

2020年04月29日

どこで歯車が狂ったのか

石川の表情もまたチームの危機的状況を物語っていた。写真:サッカーダイジェスト

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 A代表経験者を多く揃え、シーズン開幕前には優勝候補の一角として名前も挙がっていた。どこで歯車は狂ったのか――。試合後の囲み取材で、その質問に明確な答を用意できた選手などいなかった。

 誰もが傷を負った。後に、徳永は「オレ、あの試合のあとの記憶ないんですよ」と言った。彼の涙を拭うあの姿は忘れられない。塩田仁史は、この日のことをこう口にしていた。

「遡れば、(2000年に)J1に昇格させた選手や、当時から応援してくれているサポーターもいる。そして、周りには、ずっとクラブを支えてくれた人たちもいる。そういう人たちの思いが積み重なって、今のFC東京がある。降格した原因、理由はたくさんあったと思う。でも、問題は僕たちにあったし、選手の力が至らなかった。10年以上の歴史に関わったすべての人に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
 
 そして、石川直宏は、この年を象徴するようなフレーズを残している。10年シーズン最後の公式戦となった鹿島アントラーズとの天皇杯準決勝に敗れた直後、「このチームはぬるい」と吐き捨てたのだ。

 J2降格を美化することはできない。あの無情な笛の音も忘れることはできない。あの場に立ち会った誰もが心に深い傷を負った。身をザクザクと削られる思いだっただろう。ただ、これも紡ぐ歴史の1ページで、終わりなどない。その痛みを知って、克己心を養い、反骨心を胸に立ち上がった選手たちがいた。この敗者たちにも、喜びの花は咲く。それを僕は知っている。

文●馬場康平(フリーライター)
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