【回顧録】札幌とミシャの出会い。好成績の裏にあった指揮官と選手の物語

カテゴリ:Jリーグ

斉藤宏則

2020年04月26日

「リスクを恐れるな!」

昨年はルヴァンカップの決勝に進出。PK戦の末に惜しくも川崎に敗れたが、その堂々とした戦いは感動を呼んだ。(C)SOCCER DIGEST

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 そしてそのマネジメントは見事に結果につながる。「リスクを恐れるな!」「もっと上を目指そう」とミシャに言葉をかけられ続けた選手たちは躍動した。四方田監督時に重視された運動量はそのまま新体制でも武器となり、位置的優位を作りながらダイナミックにボールを運んでいく札幌版のミシャサッカーでどの相手とも互角に渡り合えるようになっていった。

 そしてロシア・ワールドカップによる中断が明けると、選手たちから「ACLに出られるように」という言葉が聞かれるようになっていった。前年まではとにかくJ1に生き残ることを第一としてきたチームが、数か月のうちにアジアを視野に入れるまでの変貌を遂げたのである。

 ミシャと札幌との出会いは、間違いなく新たな歴史の一歩となった。結果的にACL出場は叶わなかったものの、就任初年度に札幌をクラブ史上最高の4位へと導いた手腕は素晴らしいの一言に尽きる。そして翌年はルヴァンカップのファイナリスト。なにもかもが変わった。

 もちろん、ミシャが就任しただけで即日、チームが強くなれるほどプロサッカーは甘いものではないはず。クラブ問わず、過去に経験してきた成功や失敗など、様々な積み上げのうえにあるのが現在だろう。
 とはいえ、それでもやはり特別な出会いと感じずにはいられない。同じタイミングで浦和から移籍をしてきた駒井善成が若手選手に向けて「ミシャと一緒にサッカーができるだけでもラッキーやぞ」と説き、菅野孝憲は「自分もああいう人間になりたい」とまで言う。

 近年、指導者と選手との関係性やその在り方が強く問われているなかで、それだけの強い信頼を得ている指導者がこの日本に存在していることの価値は、大げさではなく、計り知れないほどに大きいと感じている。

取材・文●斉藤宏則(フリーライター)
 
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