在籍1年間で5人の監督の下でプレーすることになってしまう!?
昨年末、ミランは本田とともに、ナポリ(2-0)、ローマ(0-0)から勝点4を手に入れた。ナポリは3位を争うライバルであり、ローマはスクデットを狙うチームであるが、ミランは明確なプレーのビジョンと自信を持ち、どちらに対しても決して引けを取らなかった。
しかし、冬休みがそれを一変させてしまった。いや、冬期キャンプ中はまだ良かった。ドバイで行なわれたレアル・マドリーとのフレンドリーマッチでは勝利したのだ(後日、R・マドリーの数人の選手が「全くやる気がなかった」と告白してはいるが……)。しかしその後、全てはまるで雪のように消え失せてしまった。
ホームでの2試合に敗れ、トリノ戦では辛くも引き分けたが、負けてもおかしくない内容だった。とにかく説明のしようもない、惨憺たる状況だ。
インザーギ監督は、もう終わったも同然である。繰り返される意味不明の交代、一貫性のない戦術……。頼みの綱は“偽9番”のジェレミー・メネーズで、真のCFであるジャンパオロ・パッツィーニにはほとんどチャンスを与えず、リッカルド・モントリーボを中盤の底ではなく、相変わらずインサイドハーフとして使い続けている。
しかし、何よりも問題なのは、今のミランの選手たちに、そもそも目標の3位に入れる実力などないことだ。「今のこのチームを、ユベントスやローマと交換しようと言われても、私は断る」と語った年頭のベルルスコーニの訓示も、今や完全に的はずれなものとなり、インザーギ監督も途方に暮れている。
2月、アジアカップを終えた後で、疲れきった本田が合流するのは、こんな状況のチームだ。自信に満ち、これから上位に食い込もうと意気込んでいたチームだったのに、1か月後に再会するのは、恐る恐るプレーするチームメイト、そして首の皮一枚でつながっている監督である……。
このままの状態が続けば、インザーギ監督の解任は十分にあり得る。そうなれば本田は、あまり羨ましくない記録を打ち立てることになる。ミラン在籍のわずか1年間で、実に5人の監督(マッシミリアーノ・アッレグリ、マウロ・タソッティ、クラレンス・セードルフ、インザーギ、そして新たな監督)の下でプレーするというものだ。
とにかく、今のミランにはベストな状態の本田が必要だ。疲れて、失望した状態でミランに帰ってきてはいけない。そのためにも、ミラニスタは心から日本代表を応援すべきだろう。
チームを上位に引き上げ、平静を与えてくれるような本田をミランは待っている。そう、開幕当初のような本田だ。それと同時に、チーム全体が奮起することも必要不可欠だ。アタランタ戦のあとインザーギは記者会見でこう言っている。
「練習、練習、練習するのみ。これ以外に、今の状況を打開する方法を私は知らない」
一に練習、二に練習。これはまさに本田の十八番であり、常に実践してきた方法だ。ミランに帰ってくれば、必ずやチームの力になってくれるだろう。いや、ならなくてはいけない。そうでなければ、この先、ミランは一体どこへ行ってしまうか分からない。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
しかし、冬休みがそれを一変させてしまった。いや、冬期キャンプ中はまだ良かった。ドバイで行なわれたレアル・マドリーとのフレンドリーマッチでは勝利したのだ(後日、R・マドリーの数人の選手が「全くやる気がなかった」と告白してはいるが……)。しかしその後、全てはまるで雪のように消え失せてしまった。
ホームでの2試合に敗れ、トリノ戦では辛くも引き分けたが、負けてもおかしくない内容だった。とにかく説明のしようもない、惨憺たる状況だ。
インザーギ監督は、もう終わったも同然である。繰り返される意味不明の交代、一貫性のない戦術……。頼みの綱は“偽9番”のジェレミー・メネーズで、真のCFであるジャンパオロ・パッツィーニにはほとんどチャンスを与えず、リッカルド・モントリーボを中盤の底ではなく、相変わらずインサイドハーフとして使い続けている。
しかし、何よりも問題なのは、今のミランの選手たちに、そもそも目標の3位に入れる実力などないことだ。「今のこのチームを、ユベントスやローマと交換しようと言われても、私は断る」と語った年頭のベルルスコーニの訓示も、今や完全に的はずれなものとなり、インザーギ監督も途方に暮れている。
2月、アジアカップを終えた後で、疲れきった本田が合流するのは、こんな状況のチームだ。自信に満ち、これから上位に食い込もうと意気込んでいたチームだったのに、1か月後に再会するのは、恐る恐るプレーするチームメイト、そして首の皮一枚でつながっている監督である……。
このままの状態が続けば、インザーギ監督の解任は十分にあり得る。そうなれば本田は、あまり羨ましくない記録を打ち立てることになる。ミラン在籍のわずか1年間で、実に5人の監督(マッシミリアーノ・アッレグリ、マウロ・タソッティ、クラレンス・セードルフ、インザーギ、そして新たな監督)の下でプレーするというものだ。
とにかく、今のミランにはベストな状態の本田が必要だ。疲れて、失望した状態でミランに帰ってきてはいけない。そのためにも、ミラニスタは心から日本代表を応援すべきだろう。
チームを上位に引き上げ、平静を与えてくれるような本田をミランは待っている。そう、開幕当初のような本田だ。それと同時に、チーム全体が奮起することも必要不可欠だ。アタランタ戦のあとインザーギは記者会見でこう言っている。
「練習、練習、練習するのみ。これ以外に、今の状況を打開する方法を私は知らない」
一に練習、二に練習。これはまさに本田の十八番であり、常に実践してきた方法だ。ミランに帰ってくれば、必ずやチームの力になってくれるだろう。いや、ならなくてはいけない。そうでなければ、この先、ミランは一体どこへ行ってしまうか分からない。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。