11月の監督交代を機に、風向きは確かに変わった
だからこそ、11月の監督交代は原口にとって間違いなく転機となった。新たに就任したケナン・コチャク監督は就任後から原口を中心選手に据えた。コチャク初陣となった14節ダルムシュタット戦では、原口が14分にCKからの流れから先制ゴールをマーク。実はこれが、原口にとってハノーファーでの初ゴールだった。
第16節アウエ戦では、後半アディショナルタイムに逆転ゴールを決め、チームを今季ホーム初勝利に導いた。コチャク監督就任後は、累積警告で出場できなかった1試合を除き、12試合中11試合にフル出場。4ゴールをマークし、上昇気流に乗っている。ポジションも起用法も試合ごとに代わるなかで、本職のサイドハーフのほかにも、ボランチやトップ下でチームのために重要な役割を担っている。
転機となった監督交代について、原口は『Bild』紙のインタビューに次のように語っていた。
「新監督が発表された時、僕は日本代表チームで活動中でした。ハノーファーに戻った後、コチャク監督は僕をすぐオフィスに呼んで、ポジションとしてボランチ、インサイドハーフ、トップ下としてみていることを伝えてくれました。最初はできたらサイドの方がいいんですが、ということも言ったけれど、監督は自分の思いを貫いた。正しい判断だったのかなと(笑)。それと、監督は僕とたくさん話をしてくれるんですね。それが僕にはいいことなんです。監督交代は僕らにポジティブな効果を与えてくれたと思います」
第16節アウエ戦では、後半アディショナルタイムに逆転ゴールを決め、チームを今季ホーム初勝利に導いた。コチャク監督就任後は、累積警告で出場できなかった1試合を除き、12試合中11試合にフル出場。4ゴールをマークし、上昇気流に乗っている。ポジションも起用法も試合ごとに代わるなかで、本職のサイドハーフのほかにも、ボランチやトップ下でチームのために重要な役割を担っている。
転機となった監督交代について、原口は『Bild』紙のインタビューに次のように語っていた。
「新監督が発表された時、僕は日本代表チームで活動中でした。ハノーファーに戻った後、コチャク監督は僕をすぐオフィスに呼んで、ポジションとしてボランチ、インサイドハーフ、トップ下としてみていることを伝えてくれました。最初はできたらサイドの方がいいんですが、ということも言ったけれど、監督は自分の思いを貫いた。正しい判断だったのかなと(笑)。それと、監督は僕とたくさん話をしてくれるんですね。それが僕にはいいことなんです。監督交代は僕らにポジティブな効果を与えてくれたと思います」
ふたりの信頼関係は深い。第24節ホルシュタイン・キール戦では累積警告で出場停止となったが、コチャク監督は「ハラグチの穴を埋めるのは非常に難しい。特別なプレーヤーで、本当に重要な選手なんだ。チームにとっての損失だ」と欠場を嘆くほどに原口のことを信頼しているのだ。
復帰戦となった第25節ニュルンベルク戦では、90分間ゲームをコントロールして3-0で快勝。今季2度目の2連勝に貢献した。原口は攻守にバランスの取れたプレーをみせた。
試合後、10番を背負った彼は「前回(出場停止で)出てなくても試合に勝って3ポイントを取ることができていた。なおさら、今回自分が出てる時にもきひんと勝たないといけないと感じていた」とホッとした様子で勝利を喜んだ。そして、チームがどんどん安定してきたことに対して、「やっと、やっとチームとして先が見えてたかな、という感じ」と手応えを口にしていた。
監督の信頼が、原口本来の力を解放したといえるだろうか。新型コロナウィルスの影響でシーズン再開の見通しはまだ立っていない。自粛期間のコンディション調整も簡単ではないだろう。だが、せっかくみんなで掴んだいい流れを手放すつもりはないはずだ。チームの主軸として原口の活躍に、今後も期待が集まる。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中