森保監督は続投すべきか。日本サッカー通である英国人記者の忌憚なき見解は──

カテゴリ:日本代表

マイケル・プラストウ

2020年01月22日

日本協会内に「プランB」は存在しない

 昨年夏のトゥーロン国際大会で日本はイングランド、チリ、メキシコを破り、決勝のブラジル戦も負けはしたが、PK戦での敗北だった。先ごろタイで戦ったチームはあのフランスでの成功からなにを学び、継承し、チーム力の向上につなげたのか。まるで別のチームのようだった。短期的な強化指針がボヤけていれば、より良い長期的な計画など描けるはずもない。

 日本はアジアで勝たなければいけない、というちょっとした強迫観念が、昨今の日本代表チームには常に付きまとう。もはやアジアで日本が勝つのは、決して簡単ではない時代に入ったと認識すべきだろう。それはフル代表のみならずユースレベルも同様で、年々その傾向が強まっている。“負け”ることだってある。

 とはいえ、だ。アジアの大会でグループリーグを突破できなかったのは、いったいどれくらいぶりだろうか。この10年近くなかったはずだ。トゥーロン国際でのあの勢いはどこへ行ってしまったのか。選手たちはその事実をどれだけ重く受け止めているのか。彼らのフットボールキャリアにおいて、U-23アジア選手権はワーストな記憶として刻まれるはずだ。

 ではなぜ、現時点で森保監督は続投すべき、とわたしは考えるのか。

 ひとつめの理由は、「プランB」が存在しないからだ。2018年のロシア・ワールドカップを前に、日本サッカー協会はフル代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督を更迭した。実に勇敢だが、きわめて異例な決断である。あのとき、日本の外から新たな指揮官を招聘する時間的猶予はなく、それは効率性も欠いていた。内部で事に対処できると踏んだがゆえの更迭で、手綱は西野朗監督に託された。

 しかし今回、森保監督は日本協会が主導で選んだ、オリジナルの内部スタッフである。すべてをJFAによってデザインされたチームが、森保ジャパンなのだ。よって内部に代役などはおらず、すなわちプランBも存在しない。

 
 2番目の理由は、お粗末だったU-23アジア選手権を教訓とできるかもしれないと考えるからだ。いわば逆転の発想で、ネガティブな結果は得てして、有意義に活用できる。

 今回の結果を受けて、あらためて海外ベースの選手たちの重要性が浮き彫りとなり、オーバーエイジを活用すべきかどうかの議論も活発になって然りだ。常識的に考えて、今回のチームから五輪本番のメンバーに残りそうなのは、橋岡大樹や相馬勇紀らひと握りだけだろう。森保監督はほとんど海外組のキープレーヤーを呼んでおらず、客観的に見れば、タイでの失敗がかならずしも東京五輪代表チームの失敗には直結していない。

 ハードなJリーグのシーズンとE-1東アジア選手権が終わったあとで、疲労困憊のBチームが時間のないなかで練習をこなし、結果を出せなかった。単純にそう割り切ることもできる。森保監督のマネジメントや用兵とは別次元の話だ。
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