ローゼが「腹を括った」のが伝わってきた
しかし、ローゼはすぐに反応する。端的に表現すれば「腹を括った」のが分かった。そのサインとして、FWの位置ブレール・エムボロを投入。コンディションがいいエンボロが前線でボールを収められるようになったことで、少しずつボルシアMGがリズムをつかみ、勢いを取り戻し始める。そして60分、CKからラミ―・ベンゼバイニが豪快なヘディングシュートを決めた。
同点に湧き上がるホームスタジアム。ローゼはこの勢いを殺さないよう、次々に交代カードを切った。引き分けで満足しようとすれば、またやられると考えたに違いない。引くのではない、どんどん前から仕掛けていこう。その意志は、観ている側にも十分に伝わってきた。
64分にスピードと飛び出しに優れるパトリック・ヘアマン、85分には技術と得点力を持つラファエウをピッチに送り、逆転ゴールを狙い続けた。
一方のフリックは、動かなかった。負傷のためにコランタン・トリソとジェローム・ボアテングを下げた以外、手を打たなかったのだ。
そして、逆転ゴールは試合終了間際の90分に生まれた。キミッヒのクリアミスから、交代出場のハビ・マルティネスが不用意なタックルをし、PKを与えてしまった。
このミスがなければ、引き分けで終われたとも考えられる。だが、同点ゴール後、バイエルンは全くチャンスを作り出せないでいた。ボルシアMGの怒涛の攻撃を抑えきれず、あたふたする場面が増えてくる。
同点に湧き上がるホームスタジアム。ローゼはこの勢いを殺さないよう、次々に交代カードを切った。引き分けで満足しようとすれば、またやられると考えたに違いない。引くのではない、どんどん前から仕掛けていこう。その意志は、観ている側にも十分に伝わってきた。
64分にスピードと飛び出しに優れるパトリック・ヘアマン、85分には技術と得点力を持つラファエウをピッチに送り、逆転ゴールを狙い続けた。
一方のフリックは、動かなかった。負傷のためにコランタン・トリソとジェローム・ボアテングを下げた以外、手を打たなかったのだ。
そして、逆転ゴールは試合終了間際の90分に生まれた。キミッヒのクリアミスから、交代出場のハビ・マルティネスが不用意なタックルをし、PKを与えてしまった。
このミスがなければ、引き分けで終われたとも考えられる。だが、同点ゴール後、バイエルンは全くチャンスを作り出せないでいた。ボルシアMGの怒涛の攻撃を抑えきれず、あたふたする場面が増えてくる。
事実、チアゴはフィールド上から消えていた。パスを展開できず、攻撃で力を発揮できず、守備に奔走するばかり。コマンはパスを引き出せず、ディビスは攻めあがれず、ゴレツカやミュラーは行ったり来たりを繰り返した。前半あれだけ自由に動き周り、一人でボルシアMG守備陣を混乱させていたロベルト・レバンドフスキは、前線で完全に孤立した。
何か打つ手はなかったのか。ベンチにはセルジュ・ニャブリ、フェリペ・コウチーニョがいた。パバールを右SBに入れて、キミッヒをアンカーに移すこともできた。
いずれにしても、60分以降「サッカーをすることを忘れた」のであれば、間違いなく、思い通りのサッカーを思い出させる一手が必要だった。交代枠は残っていたのだ。
フリックの就任後、公式戦4試合で4勝16得点・無失点と最高の船出だったバイエルン。だが、ここ2試合のリーグ戦は連敗を喫している。
選手はフリックの手腕を評価しているし、チーム内の雰囲気は良い。だが、勝ちきれないとなると問題なしとは言えないのではないだろうか。現在のリーグ順位は7位だ。優勝どころかチャンピオンズ・リーグ、ヨーロッパリーグ出場圏からも離れている。
今年は残すところ3戦。7連覇中のブンデス屈指の強豪は、ブレーメン、フライブルク、ヴォルフスブルクに対してどう戦い、どんな結果を残すのか。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中。