大宮戦で「いつも通り」のドリブルを仕掛ける坂元を見ながら、ふと思い出したことがある。
前橋育英高を選んだ理由を聞けば「レベルが高いところで、下からチャレンジする方が好きなので」と答え、東洋大に進学した経緯を聞けば「スポーツ推薦枠では入れず、一番下の余り物という感じで入った」と言っていた。そして「下から這い上がるのには自信がある」と。６位で挑むプレーオフはまさに“下から這い上がる”戦い。坂元にとっては望むところに違いない。
前橋育英高時代もCチームからのスタート。大学では「一番下の余り物で入った」
２回戦で対戦する徳島には、前橋育英の同級生、鈴木徳真がいる。選手権準優勝を分かち合った仲間だが、年代別代表の常連だった鈴木は、Cチームからスタートした坂元からすれば常に下から仰ぎ見る存在だった。だからこそ、とてつもなく大きなものを賭けた戦いの場に一緒に立てることが嬉しく、同時に「ただただ負けたくない」と思っている。
大宮戦では、数多くのチャンスメイクに絡んだものの、数字に残る結果にはならなかった。貴重な先制点は坂元のクロスから生まれたが、オウンゴールではアシストにならない。今度こそ、ゴールやアシストという目に見える爪痕を残してJ１チームとの決定戦へ進むつもりだ。
その先にあるのは、来季、18位からのJ１の戦い。一番下から這い上がっていく戦いは、坂元の大好物だ。
取材・文●頼野亜唯子（フリーライター）
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