「情熱」を絶やさず、伝承する
そんな彼らのサポートの根底にあるのは、深い「郷土愛」だ。
「もちろん、地元に何かを還元したいという想いもありますが、それ以上に大切にしたいのが、これから札幌と北海道の未来を担っていく子どもたち。彼らがコンサドーレに愛着を抱き、有形無形のサポートをしていくことが、この地域全体の活性化につながるんです」(井上氏)
地元の子どもたちが、コンサドーレのサッカーに触れる機会を少しでも増やしたい──。そのために何かできることはないかと考え、生まれたアイデアが「VIP席への招待」だった。
着想を得たのは、香川真司(現レアル・サラゴサ)が2011年から古巣セレッソ大阪のホームスタジアムに設置した『SHINJIシート』だ。もっとも選手ではなく、個人スポンサーがこうして子どもたちをスタジアムに招待するのは、非常に珍しいケースだろう。
それが初めて実現したのが、前述した名古屋とのホームゲーム(J1リーグ第30節)だった。テストケースとして、まずは知人の2家族を招待。これまで一度もコンサドーレの試合をスタジアムで観戦したことがなかったという4人の子どもたちは、いずれも井上氏の、年の離れた小学校時代の後輩だ。
招待家族の母親は言う。
「ちょうど1週間前にルヴァンカップの決勝があったので、子どもたちはテレビ中継に釘付けでしたね。惜しくも負けてしまって残念そうでしたが、『今度は僕たちが応援してコンサドーレを勝たせるんだ』と言って、首を長くして今日の試合を待っていたんです」
彼ら4人の熱い声援もあって、この日のコンサドーレはルヴァンカップ決勝の悔しさを振り払うように3-0の快勝を飾った。試合後には、興奮冷めやらぬ子どもたちのもとをDFの福森晃斗が訪れ、記念撮影。彼らにとっては、すべてが夢のような瞬間だったに違いない。
「子どもたちの笑顔を見て、本当にやって良かったと思いましたね。今後は招待席の増席も視野に入れています」(飯塚氏)
井上、飯塚両氏が願うのは、こうした「新しいスポンサードの形」に共感し、サポートの輪を広げてくれる仲間がひとりでも多く増えていくことだ。
資金的なサポートはもちろん、クラブ運営にとって必要不可欠であろう。資金力が増せば、優秀な人材も手に入れられるだろうし、タイトルの獲得もより現実味を増すに違いない。ただそれとともに、地域の子どもたちを育て、コンサドーレに寄せる「情熱」を絶やさず、伝承していく作業も、決しておざなりにしてはならないはずだ。井上、飯塚両氏の今回の取り組みは、そのひとつの方法と言えるだろう。
「もちろん、地元に何かを還元したいという想いもありますが、それ以上に大切にしたいのが、これから札幌と北海道の未来を担っていく子どもたち。彼らがコンサドーレに愛着を抱き、有形無形のサポートをしていくことが、この地域全体の活性化につながるんです」(井上氏)
地元の子どもたちが、コンサドーレのサッカーに触れる機会を少しでも増やしたい──。そのために何かできることはないかと考え、生まれたアイデアが「VIP席への招待」だった。
着想を得たのは、香川真司(現レアル・サラゴサ)が2011年から古巣セレッソ大阪のホームスタジアムに設置した『SHINJIシート』だ。もっとも選手ではなく、個人スポンサーがこうして子どもたちをスタジアムに招待するのは、非常に珍しいケースだろう。
それが初めて実現したのが、前述した名古屋とのホームゲーム(J1リーグ第30節)だった。テストケースとして、まずは知人の2家族を招待。これまで一度もコンサドーレの試合をスタジアムで観戦したことがなかったという4人の子どもたちは、いずれも井上氏の、年の離れた小学校時代の後輩だ。
招待家族の母親は言う。
「ちょうど1週間前にルヴァンカップの決勝があったので、子どもたちはテレビ中継に釘付けでしたね。惜しくも負けてしまって残念そうでしたが、『今度は僕たちが応援してコンサドーレを勝たせるんだ』と言って、首を長くして今日の試合を待っていたんです」
彼ら4人の熱い声援もあって、この日のコンサドーレはルヴァンカップ決勝の悔しさを振り払うように3-0の快勝を飾った。試合後には、興奮冷めやらぬ子どもたちのもとをDFの福森晃斗が訪れ、記念撮影。彼らにとっては、すべてが夢のような瞬間だったに違いない。
「子どもたちの笑顔を見て、本当にやって良かったと思いましたね。今後は招待席の増席も視野に入れています」(飯塚氏)
井上、飯塚両氏が願うのは、こうした「新しいスポンサードの形」に共感し、サポートの輪を広げてくれる仲間がひとりでも多く増えていくことだ。
資金的なサポートはもちろん、クラブ運営にとって必要不可欠であろう。資金力が増せば、優秀な人材も手に入れられるだろうし、タイトルの獲得もより現実味を増すに違いない。ただそれとともに、地域の子どもたちを育て、コンサドーレに寄せる「情熱」を絶やさず、伝承していく作業も、決しておざなりにしてはならないはずだ。井上、飯塚両氏の今回の取り組みは、そのひとつの方法と言えるだろう。