持ち前の技術に加え、いかにタフに戦えるかがポイントになる。
ポテンシャルの高さと、崩れやすい危うさが共存するチームを、岡山監督は「見る人から『いいね』とよく言われるけど、いいように見えるだけ。上手さじゃなくて、強さが足りない。強さが伴えば、ぐっと行ける。こいつら上手いなと思う試合は何試合も見てきたけど、ハードワークがベースにあって勝っていたのに、成功体験によってオレたちは上手い(から勝てる)んだという勘違いを生んでいる。ハードワークをベースに戦えれば、流経大柏や市立船橋、東福岡とか強豪とやっても勝てるだけの力がある」と表現した。
ハードワークの源は、体力の限界を引き出す経験と、強いメンタリティーだ。指揮官は、夏に走り合宿を行ない、上手さにたくましさを加えようと選手に訴えた。また、明らかに主力級の力を持った選手でも、成長のために進むべき道が見えなくなっていれば、メンバーから外して、足りないものを見つめ直す時間を持たせた。
分かりやすい例が、トップ下で起用している大城だ。選手権予選の直前、突如、何の説明もなくメンバーから外れた。岡山監督は「牙が抜けてしまった。周りにボールを持ったり、パスを出したりする選手が多いから、そっち寄りになった。周りに使われる方なのに、使う方になってしまった。あれでは、自己満足。本来のアイツは、自分でガンガン行けるし、仕掛けに怖さがある。奪われても奪い返しに行けるタイプ」と楽なプレーに引きずり込まれたことを理由に挙げた。
説明はなかったが、日ごろから「牙が抜けている」と指摘されていた大城に意図は伝わっていた。「ゴール前で仕事をするために、どうするべきか考え直した。周りが上手いので、パスを渡して終わってしまっていた。スタメンを取り返すために自分のプレーを出そうと思ったら、どん欲にプレーできるようになってきた」と話す大城は、県予選1回戦で途中出場をしてハットトリック。先発の座を取り戻した。
リズムが悪くなった時、持ち味を発揮できなくなった時、積極性を忘れずにプレーできるか。全国大会という厳しい舞台でタフに戦えるか。最後の大会で真価が問われる。
中京大中京は、初戦で3年連続出場の長崎総科大附と対戦するが、同ブロックはダークホース同士のつぶし合いだ。岡山監督は「面白いゾーンに入ったので、楽しみ」とニヤリ。過去最高のベスト8を超えて、全国に名を馳せる時がやってきた。
■愛知県予選 決勝戦短評
中京大中京 5-0 東邦
得点者/中=大城×2、辻、市川、小原
序盤は、プレスと速攻を押し出した東邦が攻勢に出たが、時間が経つにつれて中京大中京はMF市川を起点に両サイドへパスを散らしてペースアップ。39分に大城のシュートの跳ね返りを辻が押し込んで先制。中京大中京の勢いは後半も止まらず、65分には市川、小原とつないで、富田のスルーと流れるような展開から大城が決めて追加点をゲット。さらに70分にPKで加点。74分に富田のアシストで小原がゴール。ロスタイムにも再び富田のパスで大城がゴールを決めて5-0。圧勝で全国大会出場を決めた。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
【高校選手権PHOTO】愛知県代表校|中京大中京
ハードワークの源は、体力の限界を引き出す経験と、強いメンタリティーだ。指揮官は、夏に走り合宿を行ない、上手さにたくましさを加えようと選手に訴えた。また、明らかに主力級の力を持った選手でも、成長のために進むべき道が見えなくなっていれば、メンバーから外して、足りないものを見つめ直す時間を持たせた。
分かりやすい例が、トップ下で起用している大城だ。選手権予選の直前、突如、何の説明もなくメンバーから外れた。岡山監督は「牙が抜けてしまった。周りにボールを持ったり、パスを出したりする選手が多いから、そっち寄りになった。周りに使われる方なのに、使う方になってしまった。あれでは、自己満足。本来のアイツは、自分でガンガン行けるし、仕掛けに怖さがある。奪われても奪い返しに行けるタイプ」と楽なプレーに引きずり込まれたことを理由に挙げた。
説明はなかったが、日ごろから「牙が抜けている」と指摘されていた大城に意図は伝わっていた。「ゴール前で仕事をするために、どうするべきか考え直した。周りが上手いので、パスを渡して終わってしまっていた。スタメンを取り返すために自分のプレーを出そうと思ったら、どん欲にプレーできるようになってきた」と話す大城は、県予選1回戦で途中出場をしてハットトリック。先発の座を取り戻した。
リズムが悪くなった時、持ち味を発揮できなくなった時、積極性を忘れずにプレーできるか。全国大会という厳しい舞台でタフに戦えるか。最後の大会で真価が問われる。
中京大中京は、初戦で3年連続出場の長崎総科大附と対戦するが、同ブロックはダークホース同士のつぶし合いだ。岡山監督は「面白いゾーンに入ったので、楽しみ」とニヤリ。過去最高のベスト8を超えて、全国に名を馳せる時がやってきた。
■愛知県予選 決勝戦短評
中京大中京 5-0 東邦
得点者/中=大城×2、辻、市川、小原
序盤は、プレスと速攻を押し出した東邦が攻勢に出たが、時間が経つにつれて中京大中京はMF市川を起点に両サイドへパスを散らしてペースアップ。39分に大城のシュートの跳ね返りを辻が押し込んで先制。中京大中京の勢いは後半も止まらず、65分には市川、小原とつないで、富田のスルーと流れるような展開から大城が決めて追加点をゲット。さらに70分にPKで加点。74分に富田のアシストで小原がゴール。ロスタイムにも再び富田のパスで大城がゴールを決めて5-0。圧勝で全国大会出場を決めた。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
【高校選手権PHOTO】愛知県代表校|中京大中京