監督の思惑はズバリはまる
監督の思惑はズバリはまる。ワントップとして足がつって動けなくなるまで83分間、愚直にボールを追いかけ身体を張ってボールをキープ。それだけではない。ゴールこそなかったが、クロスに飛び込む持ち前のヘディングなどでこの日最多4本のシュートを記録。これまで出番に恵まれなかったキャプテンの死にもの狂いの頑張りは直ぐに全選手に伝播した。
また、この日の勝利は11分の岡本のビッグセーブが無ければ違う展開になっていた。
試合の入りは明らかに町田が優勢だった。セットプレーを得た町田が速いロングボールをゴール前へ。中島が落としたボールを土居がスライディングでシュート。この日最初の大ピンチを岡本が身体を挺して防いだ。
それ以降20分までシュートを1本も打てなかった愛媛が尻上がりに良くなったのはこの岡本のビッグプレーと最前線で奮闘し続けた西田の活躍を抜きには考えられない。
複数得点とシャットアウトという最高の形で連敗を止めた愛媛FC。2-0での快勝は26節・ファジアーノ岡山戦以来約3か月ぶりだった。
MFの下川陽太からの高速クロスにニアで右足アウトでフリックというテクニカルゴールで先制点を挙げたFWの近藤貴司も、DFの茂木力也からのパーフェクトなクロスをヘディング叩き込んで追加点を記録したDFの山﨑浩介も「ロッカーで(西田)剛くんやグッピー(岡本)さんがチーム全員の感じていたことを言ってくれて、ピッチでもあれだけ身体を張ってるのに僕らがやらないわけにはいかなかった」と口を揃えた。
「今日は(ベンチから)見ていて楽しかった。僕が言うより本人たちが気付くのが一番強い。誰一人サボらず一生懸命ハードワークして戦う。僕が来る前からある愛媛のDNAです」
久しぶりに晴れ晴れしい表情を見せた会見場での川井監督。早くも今シーズンのホームゲームは残り1つ。原点を取り戻した愛媛サッカーはお金を払ってでも観る価値が十分にある。
取材・文●江刺伯洋(南海放送アナウンサー)