興梠不在で何もできなかったチームの面影はなかった
開始7分、浦和はファーストチャンスをモノにする。GK西川周作のFKを橋岡大樹が高橋秀人に競り勝ち、ファブリシオへつなぐと、ファブリシオからのパスを受けた武藤雄樹が左足を強振して先制点を奪った。興梠に代わって1トップのポジションを託された武藤は、興梠不在の大一番を勝ち切ろうと、最前線で“裏抜け”を繰り返し、ゴールへの道筋を探っていたひとりだった。
「必ずゴールを決めようと思っていましたし、一番前のポジションなので、GKや最終ラインの選手とギリギリのところで駆け引きができます。浦和に最初に来た時のような自分の良さを1トップでは出せるので、何度も裏を狙うなかでゴールを決めようと思っていました」
また守備でも特筆すべき活躍を見せる選手がいた。例えば3バック中央のポジションを務めた鈴木大輔は、高いラインを構築しながら、機を見たインターセプトでカウンターの起点となり、自らも攻め上がることで相手のマーキングを混乱させ、攻撃にアクセントを加えた。29分のサイド攻撃から長澤が追加点を奪ったゴールシーンは、鳥栖のクリアボールをいち早く回収した鈴木のワンプレーが出発点となった。こうして浦和は2点をリードして後半へ折り返す。
「必ずゴールを決めようと思っていましたし、一番前のポジションなので、GKや最終ラインの選手とギリギリのところで駆け引きができます。浦和に最初に来た時のような自分の良さを1トップでは出せるので、何度も裏を狙うなかでゴールを決めようと思っていました」
また守備でも特筆すべき活躍を見せる選手がいた。例えば3バック中央のポジションを務めた鈴木大輔は、高いラインを構築しながら、機を見たインターセプトでカウンターの起点となり、自らも攻め上がることで相手のマーキングを混乱させ、攻撃にアクセントを加えた。29分のサイド攻撃から長澤が追加点を奪ったゴールシーンは、鳥栖のクリアボールをいち早く回収した鈴木のワンプレーが出発点となった。こうして浦和は2点をリードして後半へ折り返す。
しかし、試合はハーフタイムを境に様相が変わった。鳥栖の金明輝監督は豊田陽平を後半頭から投入し、トップのポジションで起用。2点を追う鳥栖は豊田をターゲットにしたロングボールを多用し、反撃に出た。準備期間で“豊田対策”を練ってきた浦和だったが、セカンドボールワークや球際の攻防で苦戦を強いられると、計3失点。逆転を許してしまった。
負ければ、降格圏が目の前に迫ってしまう浦和はなんとか反撃の糸口を探ろうと、例えば途中出場の汰木康也は多少遠めからでも、「流れを変えようと強引に」シュートまで持ち込んだ。また、ボランチの青木拓矢は自重していた攻め上がりを解禁し、76分のポスト直撃シュートだけではなく、90+3分にもGK高丘陽平を強襲するロングシュートを見舞った。そして直後のCK崩れの展開から浦和はPKを獲得。土壇場で杉本健勇がPKを決めて同点とし、まさに“九死に一生を得た”。
エース不在で戦った鳥栖戦の浦和は、例えばルヴァンカップ準々決勝・鹿島戦の前半のように、興梠不在で何もできなかったチームの面影はなかった。16位の鳥栖を突き放す勝ち点3こそ奪えなかったものの、それぞれが勝つために“試行錯誤”したトライの数々と、土壇場でもぎ取った勝点1は、今後の残留争いを戦い抜く上での大きな原動力として、つながっていくに違いない。
取材・文●郡司 聡(フリーライター)
負ければ、降格圏が目の前に迫ってしまう浦和はなんとか反撃の糸口を探ろうと、例えば途中出場の汰木康也は多少遠めからでも、「流れを変えようと強引に」シュートまで持ち込んだ。また、ボランチの青木拓矢は自重していた攻め上がりを解禁し、76分のポスト直撃シュートだけではなく、90+3分にもGK高丘陽平を強襲するロングシュートを見舞った。そして直後のCK崩れの展開から浦和はPKを獲得。土壇場で杉本健勇がPKを決めて同点とし、まさに“九死に一生を得た”。
エース不在で戦った鳥栖戦の浦和は、例えばルヴァンカップ準々決勝・鹿島戦の前半のように、興梠不在で何もできなかったチームの面影はなかった。16位の鳥栖を突き放す勝ち点3こそ奪えなかったものの、それぞれが勝つために“試行錯誤”したトライの数々と、土壇場でもぎ取った勝点1は、今後の残留争いを戦い抜く上での大きな原動力として、つながっていくに違いない。
取材・文●郡司 聡(フリーライター)