「FC興梠」とも揶揄された浦和が、エース不在の大一番で見せた“試行錯誤”

カテゴリ:Jリーグ

郡司 聡

2019年09月29日

“FC興梠”からの脱皮を図ろうともがいていた

鳥栖戦で先制点を奪った武藤。ようやく今季リーグ戦初ゴールを奪った。(C)SOCCER DIGEST

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 残留争い直接対決となったアウェーの鳥栖戦(27節)を3−3で終えたミックスゾーンで、関根貴大はこう言っていた。

「今日は武藤(雄樹)くんも決めてくれましたし、(長澤)和輝くんも決めてくれました。今は“FC興梠”と言われていますが、ほかの選手が点を取っていかないと、今後の浦和に光が見えないと思うので、ほかの選手が決めたことは良かったのかなと思います」

 大槻体制に移行してからの興梠慎三は、絶大なる存在感を印象付けている。例えばリーグ戦直近5試合において、チームの4得点中3点を叩き出し、上海上港とのACL準々決勝でも2得点を奪い、アジア4強に導いた。

 8年連続でリーグ二桁得点を記録している“浦和のエース”が牽引するチームは、30番への依存度が高まるばかりで、いつしか“FC興梠”と揶揄されるようになっていた。

 
ところが、鳥栖に負ければ勝点1差に縮まる大一番を前に、チームは試練に直面した(26節終了時点で浦和は15位で、鳥栖は勝点4差で16位だった)。負傷を抱える興梠は、試合当日の午前中まで遠征メンバー入りの可能性を探ったものの、結局ベンチ入りできず。浦和は絶対的エース不在で“6ポイントマッチ”に臨むことになった。
 しかし、ある意味、“ピンチはチャンス”とも言えた。駅前不動産スタジアムのピッチに立った浦和の選手たちは、それぞれが試行錯誤しながら、“FC興梠”からの脱皮を図ろうともがいていた。

 キックオフ前、慌ただしく、両チームの選手たちが左から右へ、右から左へ、ピッチを横断していく。コイントスに勝ったゲームキャプテンの槙野智章は、自分の判断でエンドを変える選択をしたという。

「このスタジアムでここ数年、いい結果を残せていなかったということ(※過去5シーズンで1勝2分2敗)と、キャプテンマークを巻かせもらった立場として、前半よりも後半に運動量が落ちて、チームがバラバラになりつつある時に、一番監督に近いポジションで指示を聞いて伝えられるようにしようと、僕なりに考えてエンドを変えました。

 あとはホームのチームがいつもと攻めている方向が違うと、なんとなく気持ちが悪いじゃないですか。前半は2点をリードする形になったので良かったですが、後半はベンチ前で指示を受けているにもかかわらず、3失点をしているので、それはいただけないですけどね……」

 エンドが変わったことで鳥栖の選手の中には、浦和としても、何か流れを変えたいという思いがあったんだろうと敏感に察知する者もいた。そして“主将の機転”は、早速効果をもたらした。
 

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