【山口】守りに徹しない“現実策”。人材流出は痛手も霜田監督が見せた新たな引き出し

カテゴリ:Jリーグ

上田真之介

2019年09月19日

チームコンセプトは変わらない

 移籍や負傷による選手不足があるとはいえ、この試合で送り出した顔ぶれは場当たり的なものではなかった。チーム戦術にフィットする選手をコーチングスタッフが選び、彼らに新たなポジションを与えた。
 
 選出眼は見事の一言に尽きる。池上は霜田正浩監督自身も「基本的にはインサイドだ」と現状を分析するが、ウイングで出場すると、相手を背負って受けたり、スペースに出たりと本職と違わぬ活躍。CBからタクトを振った前にも「貴之がSBでないといけないという固定概念はない。ボランチやCBでもポリバレントな能力を高いレベルで発揮できる」と期待し、新たな適性を見いだした。三幸のシャドー、山下のウイングも彼らにとっては新しい役割のひとつだ。
 
 大敗が続いた山口。守りに入らなければ残留争いに巻き込まれるのではないかという懸念に対し、チームが出した答えは“継続”だった。ただ、普段とは異なるポジションであってもチーム戦術を遂行できる選手を優先的に起用するという山口流の現実策だ。
 
「レノファはこういうサッカーをやるということをブレずに、ただ目の前の勝点3にもこだわる」(霜田監督)
 
 Jリーグで2年目の指揮を執る霜田監督。シーズン終盤に入り、継続のための現実策という新たな引き出しは開けたが、チームコンセプトは変わらず相手のゴールに矢印を向け続けている。守りに徹するという最後の引き出しを開けるわけにはいかない。
 
取材・文●上田真之介(フリーライター)
 
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