西野タイランドW杯予選初勝利の舞台裏。チャナティップが発した“ツカレタ”の意味とは

カテゴリ:国際大会

佐々木裕介

2019年09月14日

偶然帰りの飛行機が同じだったチャナティップの表情は…

タイ代表でも中堅の域に入ったチャナティップ。攻撃陣をまとめる存在だ。(C) Getty Images

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『54,659人⇒11,619人』

 初戦(マレーシア代表戦)とタイ代表戦、同じスタジアムで行われた入場者数比較だ。暴動まで起きた“イスラミックダービー”とは異なり、8万人を収める大箱はスッカスカ、筆者の知る身の毛もよだつセナヤンではなかった。警備に当たる警官隊が座り込みスマホでゲームを楽しむ様を見て察してはいたのだが、初戦を不甲斐なくも落としたことに反発するファンがボイコットした結果と地元メディアは報じている。

 試合後の公式会見では、現地メディアの「多くのインドネシア・ファンが応援をボイコットしたことに、タイ代表は助けられたのでは?」との質問に、「大観衆の中での試合も想定していたが、正直あまり気にはしていなかった」と答えてみせた西野監督ではあったが、赤煙と殺伐感漂う本来のセナヤンだったならば、こんなにも容易な試合運びは出来なかったはずである。しかし、そうはないこの状況さえをも手繰り寄せてしまうのが、西野監督が持つ眼には見えない力なのかも知れない。そう強く感じたジャカルタの夜だった。

『“ツカレタ”の言葉の裏にある想い』

 試合翌日の早朝、ジャカルタから東京へ戻る便が偶然にもチャナティップと同じだった。“ツカレタ”と話す彼の表情からは、疲労感よりも9月代表シリーズをやり切った安堵の意を強く感じ取った。西野監督から「攻撃陣のまとめ役を買って出てくれている」と厚い信頼を得ている。失意のどん底にいたスパチョークが復調出来たのも、チャナティップの気遣いがあったからなのか。代表チームで中堅となった25歳のアタッカーは、並々ならぬ覚悟を持って予選に臨んでいる。

取材・文●佐々木裕介
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