スーパースターの単独補強で夢と結果の二兎を追える時代ではなくなっている
確かにゲーム内容は悲観すべきものではなかった。鳥栖は昨年末にスペイン人のルイス・カレーラス監督を招聘し、チームの変革を試みていた。冷静なトーレスから強い言葉が出たのは、ようやく生まれつつあった好転の兆しを判定により潰された想いがあったからだろう。
その後、カレーラス監督は今季未勝利のまま10節を終えて解任された。トーレス自身は監督交代と引退決断との関連性を否定したが、こうした流れの中で、もはや自分の能力を十分に発揮するだけの土壌を築くのは無理だと感じ始めたに違いない。
その後、カレーラス監督は今季未勝利のまま10節を終えて解任された。トーレス自身は監督交代と引退決断との関連性を否定したが、こうした流れの中で、もはや自分の能力を十分に発揮するだけの土壌を築くのは無理だと感じ始めたに違いない。
一時は降格の危機も近づいた神戸の事情を見ても、スーパースターの単独補強で夢と結果の二兎を追える時代ではなくなっている。その点で、トーレスを獲得してからチームの変革を図った鳥栖は、後手を踏んだ。欧州で輝かしい足跡を記し、高いプライドを持つトーレスの決断は十分に理解できる。しかしプロとしてまだ限界が来ているとは思えないだけに、願わくば最後の一花を咲かせられるチームが獲得に乗り出してほしかった。
取材・文●加部 究(スポーツライター)
取材・文●加部 究(スポーツライター)