「ザック時代」との大きな違いは、今充実した選手たちが生き残っていること。
「サッカーとは、こうして戦術的なゲームだ。オーストラリアは同じ戦い方は90分間続かない。後半日本にボールをつなぐスペースができるのは分かっていた」(アギーレ監督)
初陣のウルグアイ戦やシンガポールでのブラジル戦を見る限り、どうも掴みどころがない印象だった指揮官が、ようやく信頼に足る采配能力の一端を示した一戦だった。一見ザッケローニ時代と大差がないように映るが、単純な継承とは意味合いが異なる。
ここまでの6戦を振り返れば、新戦力を洗い出し、総体的に戦力を再点検した上でメンバーを絞り込み、ラスト2試合は現実を見据えて公言通りに勝ち切った。実績最優先で固定したザッケローニ前監督との違いは、何より今充実した選手たちが生き残っていることだ。
大胆な抜擢が目立った最初の2試合では、日本らしさが薄れたかに見えたが、それでいてスペインの「マルカ」紙に語ったように、ショートパスをスピーディーに連ねるポゼッションスタイルが適していることを見抜いていた。その軸を成すのが、遠藤、香川、柴崎岳……、3世代を象徴するタレントだとすれば、彼らを効率よく生かすには、FWとの距離を詰め後方にアンカーを配すべきだと考えたのだと推測する。
ただしこの夜の日本の勝利が、ホームと継続の利を生かしたものだったことも確かだ。アジアカップでオーストラリアは母国の声援を受けて戦う。17分間の出場時間でワンチャンスを決め切ったティム・ケイヒルは、スタメンで出場して来る可能性が高い。
アギーレ監督の言うように、新鮮な刺激が入った日本代表は「コンセプトが浸透し、前進している」のは間違いではないだろう。だがブラジル戦を除けば、新体制はアウェーの洗礼を受けていない。アジアカップでは、さらに別次元で未知の試される局面が連鎖する。連覇が非常に難しいタスクであることには変わりがない。
取材・文:加部 究(スポーツライター)
初陣のウルグアイ戦やシンガポールでのブラジル戦を見る限り、どうも掴みどころがない印象だった指揮官が、ようやく信頼に足る采配能力の一端を示した一戦だった。一見ザッケローニ時代と大差がないように映るが、単純な継承とは意味合いが異なる。
ここまでの6戦を振り返れば、新戦力を洗い出し、総体的に戦力を再点検した上でメンバーを絞り込み、ラスト2試合は現実を見据えて公言通りに勝ち切った。実績最優先で固定したザッケローニ前監督との違いは、何より今充実した選手たちが生き残っていることだ。
大胆な抜擢が目立った最初の2試合では、日本らしさが薄れたかに見えたが、それでいてスペインの「マルカ」紙に語ったように、ショートパスをスピーディーに連ねるポゼッションスタイルが適していることを見抜いていた。その軸を成すのが、遠藤、香川、柴崎岳……、3世代を象徴するタレントだとすれば、彼らを効率よく生かすには、FWとの距離を詰め後方にアンカーを配すべきだと考えたのだと推測する。
ただしこの夜の日本の勝利が、ホームと継続の利を生かしたものだったことも確かだ。アジアカップでオーストラリアは母国の声援を受けて戦う。17分間の出場時間でワンチャンスを決め切ったティム・ケイヒルは、スタメンで出場して来る可能性が高い。
アギーレ監督の言うように、新鮮な刺激が入った日本代表は「コンセプトが浸透し、前進している」のは間違いではないだろう。だがブラジル戦を除けば、新体制はアウェーの洗礼を受けていない。アジアカップでは、さらに別次元で未知の試される局面が連鎖する。連覇が非常に難しいタスクであることには変わりがない。
取材・文:加部 究(スポーツライター)