【日本代表 コラム】「ザック時代」とは似て非なる選手起用と戦いぶりを見せたアギーレ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年11月19日

「ザック時代」との大きな違いは、今充実した選手たちが生き残っていること。

一見、ザッケローニ時代のメンバーが多数を占めたオーストラリア戦だが、アギーレ監督は良好な状態にある選手たちをピッチに送り込んだと言える。(C) SOCCER DIGEST

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「サッカーとは、こうして戦術的なゲームだ。オーストラリアは同じ戦い方は90分間続かない。後半日本にボールをつなぐスペースができるのは分かっていた」(アギーレ監督)
 
 初陣のウルグアイ戦やシンガポールでのブラジル戦を見る限り、どうも掴みどころがない印象だった指揮官が、ようやく信頼に足る采配能力の一端を示した一戦だった。一見ザッケローニ時代と大差がないように映るが、単純な継承とは意味合いが異なる。
 
 ここまでの6戦を振り返れば、新戦力を洗い出し、総体的に戦力を再点検した上でメンバーを絞り込み、ラスト2試合は現実を見据えて公言通りに勝ち切った。実績最優先で固定したザッケローニ前監督との違いは、何より今充実した選手たちが生き残っていることだ。
 
 大胆な抜擢が目立った最初の2試合では、日本らしさが薄れたかに見えたが、それでいてスペインの「マルカ」紙に語ったように、ショートパスをスピーディーに連ねるポゼッションスタイルが適していることを見抜いていた。その軸を成すのが、遠藤、香川、柴崎岳……、3世代を象徴するタレントだとすれば、彼らを効率よく生かすには、FWとの距離を詰め後方にアンカーを配すべきだと考えたのだと推測する。
 
 ただしこの夜の日本の勝利が、ホームと継続の利を生かしたものだったことも確かだ。アジアカップでオーストラリアは母国の声援を受けて戦う。17分間の出場時間でワンチャンスを決め切ったティム・ケイヒルは、スタメンで出場して来る可能性が高い。
 
 アギーレ監督の言うように、新鮮な刺激が入った日本代表は「コンセプトが浸透し、前進している」のは間違いではないだろう。だがブラジル戦を除けば、新体制はアウェーの洗礼を受けていない。アジアカップでは、さらに別次元で未知の試される局面が連鎖する。連覇が非常に難しいタスクであることには変わりがない。
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)
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