【日本代表 コラム】4-3-3で躍動感あふれるプレーができた理由と、その意味

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年11月15日

4-3-3によって個々の特色を出しやすくなったという見方も。

ミランでも4-3-3の右ウイングでプレーする本田。試合を通じて圧倒的な存在感を放った。(C) SOCCER DIGEST

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 ただしザッケローニ前監督は、本田の「我が家」をトップ下だと信じて疑わなかったが、アギーレ監督は逆にミランでのプレーを輸入した。本田が右ウイングでの生き方を見つけ出した好影響もある。昨シーズンは、教科書通りにワイドに張り出し、あまり得意ではない個人での解決に挑戦し成果を出せなかった。しかし今シーズンは、より内側で2トップに近いポジションを取り、むしろ外側はSBのために開け、カウンター時には逆サイドからのボールに反応しゴールを陥れている。
 
 また岡崎はマインツで結果を出しているCFに移行し、香川もマルコ・ロイスとのポジションチェンジを繰り返すドルトムントでの光景に近づいた。さらに攻撃的資質の高い遠藤や柴崎も、ボランチより数メートル前でプレーする方が特徴を発揮しやすい。そういう意味で結果的にアギーレ監督は、より個々の特色を出しやすい微調整を施したという見方もできる。
 
 ビルドアップ時には、アンカーが両CBの間に入り最後尾に3枚を確保し、3トップは絞り気味にポジションを取り、両SBを高く上げている。アンカーには、高いカバーリング能力と攻撃の起点になる役割が期待されているのだが、この日はアギーレ監督が描いた通りに長谷部がソツなくこなした。
 
 一方で同サイドでの軽快な連動で打開しきれなければ逆サイドへ揺さぶり、リードされた相手が押し上げてくれば、早いタイミングで縦に斜めのロングボールを駆使し、カウンターでチャンスを広げる。
 
「このチームは、相手を押し込んでも、引いても仕掛けるオプションを持っている」
 アギーレ監督も自信の弁を残した。
 
 確かにホンジュラス戦は、守備で試される後顧の憂いがなく、存分に攻撃のバリュエーションを見せられた。もちろんワールドカップ後の活性剤が武藤のみという厳しい実情も再確認されたが、少なくとも直近の目標アジアカップに向けて、4-3-3は効果的な刺激になった可能性もある。
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)
 
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