平山コーチはこんなことを言っていた。
 
「90分トータルでの戦い。プロの力を最後のところで見せつけられました」「（前半に４度の決定機を作り出したがモノにできず）あそこでパワーを使って決めきれなかったところも、後に響いたと思います」「まさに『全国大会』。なかなか経験できないことで、これを生かしていきたいです」
 
“金星”を奪うあと一歩のところまで追い込んだ。そして試合後には何人かが涙を浮かべてもいた仙台大の選手たちの健闘をたたえていた。
 
　また、仙台大の「10番」のドリブラー松尾祐介は来季、横浜FCへの加入が内定し、すでに特別指定選手としてプレーしている。この日も切れ味鋭い突破から再三にわたりチャンスを作り出していった。横浜FCの下平隆宏監督も「対戦相手に、松尾選手がいましたが、やはり彼は輝いていた。とても対戦しづらい相手でもありました。（特別指定選手として）こちらでも使っていきたいと思います」と、むしろ嬉しそうに語っていた。
　
　松尾は平山のもとで鍛えられて送り出される最初のJリーガーとなる。とても楽しみな逸材だ。いつかは監督を目指して――「指導者・平山相太」が生き生きとした元気な姿を、この天皇杯の舞台で見せてくれた。
 
取材・文：塚越 始

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