一方の倉田も、先制点後、そして同点とされた直後のゲームの進め方に苦言を呈した。
 
「水が溜まっていたのはありますけど、全体的に蹴りすぎた感はあります。せっかく良い感じで（先制して）入れたのに、完璧に相手の圧力とプレッシャーに晒されて逃げていた。１点目を取られた（同点とされた）あとのメンタルの状態、ですよね。やばいと思ったんか、動きがいつもの感じじゃなかった。こんなくらいは大丈夫だと、それこそ僕やヒガシくん（東口順昭）あたりがチームに落ち着きを与えられればよかったんですが……」
 
　宮本ガンバのメンバーリストには、中村敬斗や高尾瑠、高江麗央、食野亮太郎、高宇洋、福田湧矢ら20歳前後のヤングタレントがずらりと居並ぶ。自他ともに認める発展途上のチームだ。倉田は「経験を積まないと分からない部分はある」と前置きしつつ、チームの成長に期待を寄せる。
 
「（ＦＣ東京には）どんな状況でも選手個々がしっかり役割を果たしてくる。でも僕らにはまだ、状況が変わったり上手く行かなくなったときに、それを試合中に修正する力がない。今日みたいに前のほうから崩れたり、水たまりのひどい場所があったりして普段の繋ぎができないときの対応とか、そういうところです」

「ただ、悪いばかりではなかったし、今日までの試合の内容は良い感じで来ていた。今日も相手のゴール前までは行けているわけですから。ひとつずつ積み重ねて成長していきたい。なによりも連敗が一番良くないんで、次の試合（第19節の清水エスパルス戦）に集中しますよ」

 

　2019年シーズンのスローガンに「ガンバイズム」を掲げたものの、宮本ガンバはいまだアイデンティティーを確立できていない。試行錯誤が続くなか、チームとクラブの真髄を知る宇佐美貴史の帰還はなによりの朗報だろう。
 
　倉田は最後に、「タカシですか？　そら、だいぶ助かる部分がありますよ」と本音を漏らした。
 
取材・文●川原崇（サッカーダイジェストWeb編集部）