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沸き起こったブーイングと「ジャポン」コール。開催国を魅了したなでしこJはなぜ早期敗退を喫したのか?

カテゴリ:日本代表

西森彰

2019年06月28日

野戦病院と化した高倉ジャパンを救った裏方たちの力

アメリカ遠征で評価を高めた杉田は、不動のボランチとして全試合にフル出場。攻守の軸としてチームを牽引した。(C) Getty Images

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 メンバー発表の際には、しばらく戦線から離れている阪口と、直近のゲームを欠場した岩渕真奈の選出が話題になったが、その後もアクシデントは続いた。なでしこリーグ中断前の時期にきて、植木理子が怪我をする(国内合宿には合流したが後日、チームを離脱)。小林里歌子も、阪口と交代でエアロバイクをこぎ、海外組の宇津木瑠美も違和感を訴える。アルゼンチン戦直前には籾木結花が足をひねり、開幕戦にはトレーニングシューズを履いてピッチに姿を現わした。
 
 サッカーにケガはつきものと言っても、これだけ多くの選手が一気にトラブルを起こすとは、想像しがたい。阪口、岩渕のふたりについては、事前にリスクとメリットを天秤にかけて選んでいた指揮官も、スタッフを入れても紅白戦が組めなくなるほどの非常事態には頭を抱えた。
 
「前回大会が、あれだけケガもなく、同じメンバーで戦えたというのが奇跡的なことじゃないのかなという気がしています。選手は、ハードスケジュールの中で目いっぱいやっているわけで、ケガをした選手も、したくてやっているわけじゃない」(高倉監督)
 
 野戦病院のようになった高倉ジャパンを、しっかりとサポートしたのは、フィジカルコーチ、アスレチックトレーナーらの力だ。彼らは初戦で負傷した長谷川や、開幕直前に故障した籾木らのダメージを正確にジャッジし、戦線へ復帰させた。「寝る間も惜しんで、選手たちのケアに努めてくれた。しっかり調整してくれた」と高倉監督も謝意を述べる。
 
 こうした努力もあって、1勝1敗1分けでグループリーグを2位抜けしたなでしこジャパンは、オランダ戦を迎えることになった。
 
「今、選手を見る中で、あのメンバーがベスト」の11人は、アジアカップの決勝を戦った9人と、一戦ごとに機能してきた杉田と三浦のボランチだった。
 
「ボランチのふたりは成長中であのふたりで行けると思っていたし、選んだという感じです」(高倉監督)。
 
 オランダは、最終ラインの瞬発力が乏しく、動き出しのいい菅澤優衣香らが、裏を狙いやすそうに見えた。
 
「最初は相手も勢いがあると思うので、なかなか難しいところもあると思うんですけれども、後半に入ったらペースが落ちてくると思うので、そこは狙い目だと思います」(菅澤)
 
 前半、コンパクトな陣形を敷いて、オランダの攻撃を1失点で乗り切ったなでしこジャパンは、早くもハーフタイム直前の時間帯に、反撃にかかる。カットされればすぐ失点というゾーンでも、リスクを冒す最終ラインのパス回しに、ボールを追い疲れたオランダの足があがった。「なかなかはまらない時間帯もあったのですが、ボールを持った時も、守備面で、かなり自分たちのやりたいことができた試合だったと思います」と熊谷紗希。長谷川の同点ゴールが生まれると試合のバランスが日本へと傾いた。
 
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