朝起きた瞬間に聞こえてきたブラジル人の解説者は中島のドリブルを「スーパーだと絶賛」。岡崎をプレミアリーグで長く活躍していたと紹介し、岡崎の存在価値とチームに与える影響力を示していた。ブラジルの実況、解説は明らかに日本側であり、嬉しそうに実況、解説する。
 
　植田が与えたPKは違うであろうと言い、中島が倒されたペナルティエリアでのプレーは明らかに足が引っかかっているとコメントした。中島のほうはVARによる判定がなく、かたや植田のファウルに関してはVARでPKのジャッジを下している。
 
　この判定には「醜い」とはっきり言い切っていた。日本のサッカーが南米で評価され、日本の選手が認められているのを生で感じ取れた。
 
　もちろん勝点３を持ち、エクアドルに４-０で勝っているウルグアイにはこの試合に臨む精神的な余裕がある。ウルグアイは何がなんでもという状態ではなかった。センターフォワードの２人、スアレス、カバーニは名前も大きいし、実力もある。
 
　ただ彼らの決定力はこの試合では見れず、２人のパフォーマンスに助けられたと言っても良いであろう。上を目指すにはこの２人に足を振らせることすらさせない守備をしないといけない。
 
　僕らの前に座ったブラジル人たちは日本のプレーに満足してスタジアムを後にした。試合中、２回の得点の瞬間、周りの人たちは僕らの方を振り向き親指を立て握手を求める。
 
　スタジアムはアウェーだが、ブラジル人は日本を応援していた。日本代表の頑張りがブラジルに住む僕らを繋げてくれる。まだこの国で起こる日本代表の一つひとつは「サプライズ」なのだ。
 
　南米選手権でウルグアイ代表に先制し２点を取り、引分け、勝点１を取りグループリーグ最終戦に可能性を残す――。これがサプライズではなくなったら、きっとコパ・アメリカには招待されないだろう。
 
　まだ日本のサッカーが目指すところはこのくらいではいけない。ウルグアイのユニホームを着て朝食を摂るなかでこのコラムを書いた。この後、本場ガウーショのシュハスコを食べてサンパウロへ戻る
 
　最終戦、エクアドルはベロリゾンチーノにあるエスタジオ・ミネイロンだ。グループリーグ最終戦もしっかり応援したいと思う。
 
 
2019年６月20日
三浦泰年