守備意識の向上は、より高い攻撃の質に結び付けるため。
とはいえ「サッカーの本質は、いかにゴールを奪うか。守備の戦術は基本的に数種類しかない。攻撃の独自性を追求し、質を高めることこそ重要だ」という攻撃的な姿勢が、一変したわけではない。その攻めの美学を貫きつつ、守備に一段と注意を払うようになったというのが正しいだろう。
その後、練習は前線の3人+ウイングバック(WB)による崩しに移行。そこで興梠がプルアウトの動きから(前へ行くと見せかけ、大外を回り空いたスペースに入る)、DFの背後を突き、正確にクロスを受ける。すると、指揮官が親指を立てて合図を送る。
「シンゾー、エクセレント!」
最上級の褒め言葉だ。
「よく、もう一度動き直せた。素晴らしい」
またも、ボールのないところに目を届かせる眼力が光る。守備が大切だからと言って、攻撃の要求を下げたりなどしない。むしろ守備意識の向上を、より高い攻撃の質に結び付けようという意図が感じられる。
好クロスを放っていた平川は「5トップ」に近い形の攻撃時の連係に手応えを得つつ、その要因には「バランス」があると語る。
「まず走り出す。そこに周りが必ず気づいてくれる。だから思い切ってアクションを起こせている。パスが出なくても、もう一度自陣に戻り、守備をして動き直す。僕ら(WB)はその繰り返しが大切。そうやって守備の意識も持ちながら、バランス良くできている」
まさに指揮官が要求する「バランス」が、いい流れを生んでいることが分かる。槙野は言う。
「『ゴールを奪うための守備』が僕らのテーマ。その形もいろいろあるが、僕らはアグレッシブにボールを奪いに行くスタイルを浸透させてきている。より攻撃的な守備ができてきていると思う」
ここ最近は、相手がリトリートではなくWBやストッパーに対するプレッシングで応戦し出し、苦戦している。その対策も急務だ。2位のG大阪が急接近してきたが、それでもまだ優勝争いの主導権は、浦和が握っている。
新境地を切り拓いた「ミシャ流バランス」で、待ち受ける最後の試練を乗り越えたい。
取材・文:塚越 始(週刊サッカーダイジェスト)
その後、練習は前線の3人+ウイングバック(WB)による崩しに移行。そこで興梠がプルアウトの動きから(前へ行くと見せかけ、大外を回り空いたスペースに入る)、DFの背後を突き、正確にクロスを受ける。すると、指揮官が親指を立てて合図を送る。
「シンゾー、エクセレント!」
最上級の褒め言葉だ。
「よく、もう一度動き直せた。素晴らしい」
またも、ボールのないところに目を届かせる眼力が光る。守備が大切だからと言って、攻撃の要求を下げたりなどしない。むしろ守備意識の向上を、より高い攻撃の質に結び付けようという意図が感じられる。
好クロスを放っていた平川は「5トップ」に近い形の攻撃時の連係に手応えを得つつ、その要因には「バランス」があると語る。
「まず走り出す。そこに周りが必ず気づいてくれる。だから思い切ってアクションを起こせている。パスが出なくても、もう一度自陣に戻り、守備をして動き直す。僕ら(WB)はその繰り返しが大切。そうやって守備の意識も持ちながら、バランス良くできている」
まさに指揮官が要求する「バランス」が、いい流れを生んでいることが分かる。槙野は言う。
「『ゴールを奪うための守備』が僕らのテーマ。その形もいろいろあるが、僕らはアグレッシブにボールを奪いに行くスタイルを浸透させてきている。より攻撃的な守備ができてきていると思う」
ここ最近は、相手がリトリートではなくWBやストッパーに対するプレッシングで応戦し出し、苦戦している。その対策も急務だ。2位のG大阪が急接近してきたが、それでもまだ優勝争いの主導権は、浦和が握っている。
新境地を切り拓いた「ミシャ流バランス」で、待ち受ける最後の試練を乗り越えたい。
取材・文:塚越 始(週刊サッカーダイジェスト)