【浦和】攻めの哲学を貫く指揮官がいま「バランス」を強調する意図とは?

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2014年10月30日

ペトロヴィッチ監督の“眼力”が感じられたトレーニングでの一幕。

「攻め」の哲学を貫いてきたペトロヴィッチ監督が「バランス」を強調するようになった。その背景にあるものとは? (C) SOCCER DIGEST

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 ある日の大原練習場でのことだ。
 
 選手たちがローテーションで攻撃と守備をこなす3対2のトレーニング中、攻撃側の「3」がゴールを次々に奪っていくと、槙野が大声を発する。
「守備もこだわっていこう」
 
 この練習の主眼は、攻撃側が数的優位からいかにゴールに結び付けるかに置かれている。何度も何度も繰り返してシュートまで持ち込み、コンビネーションの感覚を身体に染み込ませる。ペトロヴィッチ監督のスタイルの根幹を成すメニューのひとつだ。とはいえ、守備側がプレッシャーを緩めていいわけではない。
 
 さらに、興梠、李、宇賀神が教科書どおりと言える、「CFにクサビを打ってDFを食い付かせる→空いた脇(サイド)のスペースを突く→ボールを持っていないふたりが動き直す→ラストパス→シュート」と、淀みない流れからゴールを決める。記者も感嘆のため息をもらした鮮やかなコンビネーションだったが、ペトロヴィッチ監督が気付いたのは別のところだった。
 
「フランツ!」
 指揮官が厳しい眼差しで叫ぶ。
 守備側の「2」に入っていた永田のことだ。プレースタイルがフランツ・ベッケンバウアーと似ているということで、ペトロヴィッチ監督は彼をそう呼んでいる。
 
「守備のところ、もっと集中しないと」
 理想的なゴールを奪った攻撃側よりも、守っていた永田の対応のほうが気になったのだ。何か具体的な指示が出たわけではないが、選手たちも敏感に反応し、空気が引き締まる。
 
「練習中から常にピッチのすべてに目を配ってくれている」(宇賀神)という指揮官の“眼力”が感じられた一幕だった。そして守備に注文を付けるのは、非常に珍しいことでもあった。
 
 今季、ペトロヴィッチ監督から「2点取られても3点取ればいい」という、これまでの発言は聞かれない。一方で「バランス」という言葉が増えた。そこには守備が安定せず崩れていった過去の教訓をもとに、新たな領域へ突入しようする心境が窺える。

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