ペトロヴィッチ監督の“眼力”が感じられたトレーニングでの一幕。
ある日の大原練習場でのことだ。
選手たちがローテーションで攻撃と守備をこなす3対2のトレーニング中、攻撃側の「3」がゴールを次々に奪っていくと、槙野が大声を発する。
「守備もこだわっていこう」
この練習の主眼は、攻撃側が数的優位からいかにゴールに結び付けるかに置かれている。何度も何度も繰り返してシュートまで持ち込み、コンビネーションの感覚を身体に染み込ませる。ペトロヴィッチ監督のスタイルの根幹を成すメニューのひとつだ。とはいえ、守備側がプレッシャーを緩めていいわけではない。
さらに、興梠、李、宇賀神が教科書どおりと言える、「CFにクサビを打ってDFを食い付かせる→空いた脇(サイド)のスペースを突く→ボールを持っていないふたりが動き直す→ラストパス→シュート」と、淀みない流れからゴールを決める。記者も感嘆のため息をもらした鮮やかなコンビネーションだったが、ペトロヴィッチ監督が気付いたのは別のところだった。
「フランツ!」
指揮官が厳しい眼差しで叫ぶ。
守備側の「2」に入っていた永田のことだ。プレースタイルがフランツ・ベッケンバウアーと似ているということで、ペトロヴィッチ監督は彼をそう呼んでいる。
「守備のところ、もっと集中しないと」
理想的なゴールを奪った攻撃側よりも、守っていた永田の対応のほうが気になったのだ。何か具体的な指示が出たわけではないが、選手たちも敏感に反応し、空気が引き締まる。
「練習中から常にピッチのすべてに目を配ってくれている」(宇賀神)という指揮官の“眼力”が感じられた一幕だった。そして守備に注文を付けるのは、非常に珍しいことでもあった。
今季、ペトロヴィッチ監督から「2点取られても3点取ればいい」という、これまでの発言は聞かれない。一方で「バランス」という言葉が増えた。そこには守備が安定せず崩れていった過去の教訓をもとに、新たな領域へ突入しようする心境が窺える。
選手たちがローテーションで攻撃と守備をこなす3対2のトレーニング中、攻撃側の「3」がゴールを次々に奪っていくと、槙野が大声を発する。
「守備もこだわっていこう」
この練習の主眼は、攻撃側が数的優位からいかにゴールに結び付けるかに置かれている。何度も何度も繰り返してシュートまで持ち込み、コンビネーションの感覚を身体に染み込ませる。ペトロヴィッチ監督のスタイルの根幹を成すメニューのひとつだ。とはいえ、守備側がプレッシャーを緩めていいわけではない。
さらに、興梠、李、宇賀神が教科書どおりと言える、「CFにクサビを打ってDFを食い付かせる→空いた脇(サイド)のスペースを突く→ボールを持っていないふたりが動き直す→ラストパス→シュート」と、淀みない流れからゴールを決める。記者も感嘆のため息をもらした鮮やかなコンビネーションだったが、ペトロヴィッチ監督が気付いたのは別のところだった。
「フランツ!」
指揮官が厳しい眼差しで叫ぶ。
守備側の「2」に入っていた永田のことだ。プレースタイルがフランツ・ベッケンバウアーと似ているということで、ペトロヴィッチ監督は彼をそう呼んでいる。
「守備のところ、もっと集中しないと」
理想的なゴールを奪った攻撃側よりも、守っていた永田の対応のほうが気になったのだ。何か具体的な指示が出たわけではないが、選手たちも敏感に反応し、空気が引き締まる。
「練習中から常にピッチのすべてに目を配ってくれている」(宇賀神)という指揮官の“眼力”が感じられた一幕だった。そして守備に注文を付けるのは、非常に珍しいことでもあった。
今季、ペトロヴィッチ監督から「2点取られても3点取ればいい」という、これまでの発言は聞かれない。一方で「バランス」という言葉が増えた。そこには守備が安定せず崩れていった過去の教訓をもとに、新たな領域へ突入しようする心境が窺える。