ネイマールの“合図”でペースを落とす傾向が…
6月9日、エースを欠くセレソンは、国内南部のポルトアレグレでホンジュラス大会前最後の強化試合を行なった。
いつもならネイマールが入る左ウイングには、ダビド・ネーレスが起用された、この今シーズンにアヤックスで大活躍した22歳に加えて、右ウイングのリシャルリソン(エバートン/22歳)、CFガブリエウ・ジェズス(マンチェスター・シティ/22歳)という若きアタッカートリオが、敵最終ラインの裏やDFの間のスペースを狙い、少ないタッチでパスをつないで決定機を作り出す。
ガブリエル・ジェズスらの得点で、前半だけで3-0とリード。こういう状況になると、いつもならネイマールが“遊び”のプレーを交えたり、走るのをやめたりするのを合図に緩んだ空気が流れ、チーム全体がペースを落とすことが少なくない。しかし、この日は違った。後半もすべての選手がひたむきにゴールを目指し、さらに4点を追加。7-0と大勝した。試合内容はカタール戦よりはるかに良く、まるで重しが取れたようだった。
私は、この「重し」がネイマールだったと考える。問題を次から次へと起こすお騒がせ男がいなくなり、チームから重苦しい空気が一掃された。
それだけではない。これまではネイマールの存在があまりにも大きく、チームの攻撃は彼を経由することを強いられていた。つまり、コンダクターだった。しかし、気分によってペースを上げ下げする気まぐれなコンダクターがいなくなってチームに活力が生まれ、最後までペースを落とすことなく選手全員がベストを尽くす機運が高まった。近年、ついぞ見られなかった溌溂としたセレソンが出現したのだ。
ネイマールを欠くこのセレソンが南米選手権で優勝できる、と断言はできない。しかし、ブラジルのフットボールにとって最悪の事態は、エースにネガティブな話題が集まることで他の選手が集中力を乱され、チーム全体がおかしくなって優勝を逃すことだった。しかし、その心配はなくなった。
もしこのチームで、若いアタッカーたちが「角を矯めて牛を殺す」ことなく貪欲にゴールを目指してプレーし、しかるべき結果を残せれば、今後のセレソンにとってとてつもなく大きな財産となる。
そして、すでに漏れ聞こえてくる「セレソンにネイマールは不要」という声が、勢いを増すのではないか。
文●アウミール・レイチ(オ・エスタード・デ・サンパウロ紙記者)
翻訳●沢田啓明
いつもならネイマールが入る左ウイングには、ダビド・ネーレスが起用された、この今シーズンにアヤックスで大活躍した22歳に加えて、右ウイングのリシャルリソン(エバートン/22歳)、CFガブリエウ・ジェズス(マンチェスター・シティ/22歳)という若きアタッカートリオが、敵最終ラインの裏やDFの間のスペースを狙い、少ないタッチでパスをつないで決定機を作り出す。
ガブリエル・ジェズスらの得点で、前半だけで3-0とリード。こういう状況になると、いつもならネイマールが“遊び”のプレーを交えたり、走るのをやめたりするのを合図に緩んだ空気が流れ、チーム全体がペースを落とすことが少なくない。しかし、この日は違った。後半もすべての選手がひたむきにゴールを目指し、さらに4点を追加。7-0と大勝した。試合内容はカタール戦よりはるかに良く、まるで重しが取れたようだった。
私は、この「重し」がネイマールだったと考える。問題を次から次へと起こすお騒がせ男がいなくなり、チームから重苦しい空気が一掃された。
それだけではない。これまではネイマールの存在があまりにも大きく、チームの攻撃は彼を経由することを強いられていた。つまり、コンダクターだった。しかし、気分によってペースを上げ下げする気まぐれなコンダクターがいなくなってチームに活力が生まれ、最後までペースを落とすことなく選手全員がベストを尽くす機運が高まった。近年、ついぞ見られなかった溌溂としたセレソンが出現したのだ。
ネイマールを欠くこのセレソンが南米選手権で優勝できる、と断言はできない。しかし、ブラジルのフットボールにとって最悪の事態は、エースにネガティブな話題が集まることで他の選手が集中力を乱され、チーム全体がおかしくなって優勝を逃すことだった。しかし、その心配はなくなった。
もしこのチームで、若いアタッカーたちが「角を矯めて牛を殺す」ことなく貪欲にゴールを目指してプレーし、しかるべき結果を残せれば、今後のセレソンにとってとてつもなく大きな財産となる。
そして、すでに漏れ聞こえてくる「セレソンにネイマールは不要」という声が、勢いを増すのではないか。
文●アウミール・レイチ(オ・エスタード・デ・サンパウロ紙記者)
翻訳●沢田啓明