そんな強い意志と責任感を胸に刻みつつ、かといって気負いすぎることもなく、天皇杯1回戦のブリオベッカ浦安(千葉県代表)戦では、ひたむきにチームの勝利を追い求めた。
5月26日、会場は千葉・フクダ電子アリーナ。炎天下の13時3分にキックオフされた。日差しがまぶしく、立っているだけに汗が吹き出てくるような暑さのなか、絶対的エースは仲間たちに声をかけ続けた。
「みんなが苦しい顔をして頑張っていたし、自分もきつい部分があって、お互いに励ましあっていた。チーム全体が同じ方向を見ながら戦うことがすごく大切で、そのためにもコミュニケーションしないといけない。細かい部分を常にすり合わせながらやっていました」
前半35分の竹本大輝のゴールを守りきった法政大が浦安を破り、2回戦に進出。次は7月10日、J2の東京ヴェルディとぶつかる。
法政大は7月10日の2回戦でJ2の東京Vと激突
「事前にいろいろ分析していたけれど、思っていた以上に強いし、高い。上田のところで起点を作られて、押し込まれてしまった。自分たちのイメージでゲームを運べなかった」と敵将の都並敏史監督が感じ入れば、「いいボールを(上田に)入れさせないよう、前から厳しくプレスにいっていたけれど、多少アバウトなボールでも収められてしまった。守備に追われ、かなり体力を消耗した」と、キャプテンの秋葉勇志は対応に苦慮していたことを打ち明ける。
取れる、突っつけると思ったボールが取れない、突っつけない。上田のすごみはピッチレベルで対峙してこそ、体感できる。
6月11日、日本代表の一員としてブラジルに向かう。そこにはまだ見ぬ世界レベルが広がっているはずだ。次代を担うストライカーにとって、これほど貴重な機会はない。
取材・文●小室功(オフィスプリマベーラ)