「もちろん基本的な街づくりはありますが、一方でみなさんが文化活動やスポーツ活動を楽しんでいけるような街にしないと、やっぱり葛飾に住もうという気にならなくなってしまう。葛飾はスポーツが盛んだし、元気な町だなと、多くの人に住みたいなと、思っていただける状況を作るのが、第一だと思います」
そうした道筋を描きながら、南葛SCとの関係を街づくりに生かしていきたいとも考えている。
「やっぱりキャプテン翼というのは大きなキャラクターだし、高橋先生も地元への強い想いを持って南葛SCに取り組んでいるので、それをうまく生かして街づくりや観光、地域の魅力アップとか、そういうことにつなげていきたいなと考えています」
もちろん、クラブが将来的にJリーグ入りを果たし、J1へ昇格することになれば、地元への波及効果は相当に大きいだろう。しかし、青木区長は葛飾区という街の特性を考えれば、「決して経済的な効果だけが重要ではないと思うんです」と言う。
「葛飾区はやはり都内23区のひとつ。東京はもともと経済では日本の中心で、葛飾の方も多くの方が都心へ働きに行っているなかで、例えば住宅地としての役割はすごく大きいわけです。都心へ通う時に比較的住環境が良くて、土地の値段もマンションの値段もそこまで高くない、住みやすい場所なんです。だから、そういう意味では、経済的な役割も果たしているんですが、むしろ葛飾に住んでいることや、自分の故郷としての葛飾に誇りを持ってもらう。『良い街』だなと思ってもらうような状況が生まれればいいですし、そこを目指していきたいですね」
まさしく、下町人情豊かな葛飾区ならではの、ホームタウン像を模索していこうというわけだ。「葛飾には比較的『葛飾らしさ』というべき良い面があるので、東京でありながら『わが町、葛飾』と思って盛り上がっていけば良いですね」と青木区長。その点は、「地元に『おらが街のクラブ』として応援できるチームを作りたかった」という南葛SCの高橋代表とも共通の想いだ。
『キャプテン翼』が生まれた街・葛飾が、漫画の中から生まれた「南葛SC」というクラブを今後どのように育んでいくのか実に楽しみだ。
取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
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