選手権を沸かせた小屋松知哉も24歳。京都サンガを背負って立つ時が来た

カテゴリ:Jリーグ

雨堤俊祐

2019年05月02日

相手からの警戒を超えて、さらなる高みへ

 徳島は京都戦に向けて小屋松とマッチアップする右サイドバックを、中盤もこなせる攻撃的な藤田征也から、サイドバックが本職の田向泰輝に変えてきた。「守備面で、相手の左サイドの攻撃力があるので田向を入れて、藤田をひとつ前にしました」とリカルド・ロドリゲス監督は記者会見で理由を述べている。その狙いは効果があり、小屋松も「左サイドが窮屈だった。相手がだいぶ引いていてスペースがなく、縦も切られていた」と前半を振り返る。チームとしても連動した崩しが少ない45分間だった。
 
 後半、開始2~3分の時点でベンチから小屋松と、この日右サイドに入った仙頭啓矢を入れ替えるよう指示が出る。すると「右サイドは(マッチアップした)うっちー(内田裕斗)も自信を持って前に来る選手なので、何度かかわせた場面もあった」と徐々に躍動し始める。63分にはミドルシュートでゴールを脅かし、それ以外にも右サイドを打開してクロスや折り返しでチャンスを作った。試合は両チームの守備陣の健闘もあってスコアレスドローだったが、事前のゲームプランや試合中のベンチワークも含めて、小屋松の存在を感じさせたゲームだった。
 

 だが、本人は満足していない。ゴールやアシストという結果を自らに課している観点から見れば、無得点に終わったことにおのずと意識は向かう。
 
「つなぐチームでも、最後は個が問われる。組織としてやる事は少しずつできている。その上で、個のところで仕留めていきたい。今日で言えばもう少し相手を(ひいた状況から)引き出したかったですね」
 
 存在感が増せば、相手にも警戒される。そこを個人として、チームとして、打ち破っていけるかどうか。
 
 中田一三監督も「小屋松は仕掛けられる状況を作る過程や、仕掛ける局面において、他の選手よりも駆け引きや選択肢、優先順位などの整理がついている。相手にとって読みづらく、彼の持つスピードや技術が生きている。守備もしっかりやってくれる」と評価した上で「相手が注意を払ってくる、その裏を使える選手が出てくれば、小屋松もさらに活躍できる」とチームとしての底上げを目指している。
 
 4月24日に24歳の誕生日を迎えた。プロのキャリアも6年目、期待の若手という時期は過ぎ去り、チームの中心として期待されることは本人も自覚している。生まれ育った地元のクラブとともにさらなる高みへ。その強き想いを持って、ピッチに立つ。
 
取材・文●雨堤俊祐(フリーライター)
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