「いつかもう一度、日本で――」鹿島戦で見せた邦本宜裕の“恩返し”の一発

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年04月25日

「そこは良いところでもあるし、悪いところでもある」

日本随一の常勝軍団との対戦でも、自慢のテクニックで相手をいなす“らしい”プレーも披露した。写真:滝川敏之

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 日本での鹿島戦での決勝点も、その恩返しのひとつなのだろう。

「一からサッカーをスタートできた」

 昨季、慶南で選手としての再出発はできた。だが「日本では、このACLという機会がないと、スタートできなかった」。待望の“凱旋試合”で、チームを勝利に導くパフォーマンスを披露してみせた。もちろん、これで終わりではない。「韓国でもまた頑張って、いつかもう一度、日本で。そういう気持ちはあります。戻ってくることができたらと思います」。

 鹿島戦では、鮮やかな“またぎフェイント”で相手をいなす場面もあった。実に、邦本らしいプレーだった。苦しかった時期を経て、サッカーを楽しめているのではないか。

「あんまり意識はしていなかったですけど、プレースタイル的に、勝手にそういうのが出てしまうというか、染みついているというか。やらなくてもいい時にも、やってしまう。そこは良いところでもあるし、場合によっては、悪いところでもあるのかな、と」

 タフなKリーグで揉まれて、強さも身に付けた。その中でも“らしさ”は失っていない。バランス良く、プレーの幅を広げようとしている。

「自分らしさを見せつつも、チームプレーもしたほうがいいと考えています。どうしても、自分のやりたいプレーが先に出てしまっているので。チームメイトは不満があるかもしれませんけど、後ろのほうではチームプレーをして、前に入ったら(自分のプレーを)する。そういう風に自分も変わっていかないと」

 邦本には「いろんな目標がある」という。まずはチームとして、Kリーグで勝ち続けること。ACLでは、今回の鹿島戦での勝利を目指していたが、そのミッションはクリアできたので、残り2試合をしっかりと勝って、決勝トーナメントに進むこと。そして個人的には、“日の丸”を見据えている。

「東京オリンピックの代表に一回でもいいから呼ばれて、そこで結果を見せたい」

 試合後の取材エリアでは、長い時間、多くの報道陣に対応していた。いい加減、痺れを切らしたクラブスタッフが近くまで寄ってきても、質問を受ければ真摯に応じていた。

 遠回りをしたかもしれないが、望むべく未来を手にするために、邦本はここからまた一歩ずつ、着実に前へと進んでいくはずだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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