苦戦して勝ったのは今季初。"名古屋らしくない"粘り勝ちが持つ小さくない意味

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2019年04月22日

「こういう試合を勝ちきるのは大きい」とは米本の言

J・シミッチは守備力の高さも見せつけた。写真:徳原隆元

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 多少どころではなく、アバウトに放り込まれてくるロングボールに対し、冷静に対処し続けたセンターバックのふたりも勝利の立役者だ。丸山祐市はロドリゲスの空中戦を決して起点にさせず、中谷進之介はアダイウトンが挑んでくる勝負に真っ向から挑み続けた。中谷はインターセプトから猛烈な勢いで攻め上がり、左サイド深くからのクロスに向かってゴールの中にまで突っ込むバイタリティも見せている。彼らが怠りなく守備を遂行し続けたおかげでチームは必要以上に下がる必要がなくなり、劣勢のなかにも反撃の余地を見出すことができたと言えるだろう。
 
 守備と言えば、J・シミッチの中盤守備も実に頼もしいものがあった。多勢に無勢の相手のカウンターを前に、ドリブルで抜かれかかったところで見せた素晴らしいスライディングタックルは、背番号8が決して司令塔だけではない、“ボランチ”であることを知らしめるに十分だった。
 
 今までの名古屋は苦戦になるとジリ貧になる傾向が強く、自分たちらしい攻撃が上手く展開できないと守備まで低調になってしまうところがあった。だからこそ磐田に持ち味を封じられてなお粘り強く戦い、相手の隙を見逃さずに決勝点を奪って逃げきるような勝ち方を経験したことは小さくない意味を持つ。
 

「こういう試合を勝ちきるのは大きい」とは米本の言。そして「自分たちのベストな試合ではなかったというのはハッキリと言える」と語ったジョーも、「しかし、粘り強く諦めずに戦った結果がこの勝利でもある」と勝ったことの意義を称えた。勝って反省は好循環の入り口になる。それも特大の反省点を抱えて勝った今節の結果は、チームから油断を奪い、自信を与える何よりの栄養になってくれそうだ。
 
取材・文●今井雄一朗(スポーツライター)

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