【日本代表】アギーレの「新しい井戸」 Jリーグが育んだ中堅の抜擢に見えるもの

カテゴリ:日本代表

谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)

2014年10月06日

「遅咲き」が躍動すれば、日本サッカーにとっても意義深い出来事に。

国内屈指のSBに成長したこの太田をはじめ、Jリーグが育んだ「遅咲き」の中堅組は代表に定着できるか。 (C) SOCCER DIGEST

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 指揮官が今年26~27歳になる彼らに見出しているのは、4年後の成長を見据えた人選というより、即戦力としての価値だろう。来年1月のアジアカップで「古い井戸」のメンバーのなかに組み込み、短期間でチーム力を高められる人材かどうかを、この2試合で見極めていく。
 
 特筆すべきは、4人のうちの3人が、最終ラインの選手であることだ。彼ら以外にも、より若い人材として昌子源(92年生まれ/怪我で招集辞退)、鈴木大輔(90年生まれ/追加招集)のふたりがリストに名を連ねたが、ザッケローニ前体制下ではCB、SBとも“常連”によって長い間、ほぼ固定されていたため、こうして新体制発足とともに競争が促され、その結果としてどんな化学反応が起きるのかは見物であり、守備強化をチーム作りの根幹とするアギーレ監督もそれを期待しているのだろう。
 
 今回の「新しい井戸」のなかで、個人的に最も注目しているのは太田だ。すでに多くの識者も指摘しているとおり、国内では稀有な左利きのSBであり、ビルドアップやサイド攻撃において、その特長を既存のチームに融合できれば新しい可能性を見出せるはず。
 
 私は2011年に清水エスパルスの担当記者を務め、太田のプレーを継続的に見たが、システマチックな4-3-3を採用したアフシン・ゴトビ体制下でも、その特長を十分に活かせていた。チーム事情から堅守速攻がメインとなるなか、自陣深くで対峙する相手をしっかりと食い止めながら、一気に縦へと飛び出す勇気と運動量、1対1の場面で果敢に仕掛ける積極性と切れ味、そして相手を抜き切らずに中央へ送るグラウンダーの高速クロスや、抉ってからの逆サイドへのピンポイントクロスなど、球種の多彩さも魅力だ。
 
 そうした特長は、現在所属するFC東京でさらに磨かれた印象で(ここまで絶対的なプレースキッカーに成長するとは……)、まさに「機は熟した」と言えるタイミングでの招集。国際舞台でどれだけ能力を発揮できるかは未知数な部分もあるが、小林、塩谷、西を含めた中堅4人組が、日本代表の「新しい井戸」として定着できるのか。Jリーグが育んだ“遅咲き”の代表戦士が躍動すれば、欧州組全盛の日本サッカー界にとっても意義深い出来事となるはずだ。
 
文:谷沢直也(週刊サッカーダイジェスト編集長)
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