指揮官は選手たちの成長を感じている
また、試合中は最終ラインから絶えずチームに声をかけ続けていた主将のDF熊谷紗希は、試合後に課題を口にしている。
「フランスとドイツはスタイルが違うし、相手の出方というか守備のパターンも違ったので、今日の試合だけで一概にうまくいった、とは言えない。個人的には(ドイツは)フランスより、パワー、スピードを出し切っていたとは思えなかったです。
それに、サイドを使って崩されながら最後は中に放り込まれてピンチに陥るというパターンは、自分たちが一番苦手としているところ。そこはもっともっと練習して、自分たちで対処法を見つけていかないといけないと思います」
先制しながらも53分に失点し、1-1となった後からの15分間は、生きた心地がしなかったろう。主導権を握られ、何度も失点のピンチを迎えた。こうした状況でどのようにまた自分たちのリズムを取り戻すのかというのも、ワールドカップを勝ち上がっていくうえで欠かせない要素になるはずだ。
選手たちの自主性について、たびたび言及している高倉麻子監督だが、試合後に改めてその必要性について口にしている。
「指示待ちではなく、ゲーム中に流れを変えていく選手が出てきて、だんだんとチームになって団結していくというのが、ワールドカップを戦う上で大事なことだと考えています。選手にもこういう話はしていましたが、今回の遠征で体験した厳しい試合を通じて、実感していると思います」
実際に、ドイツ戦で右SBで72分までプレーした清水も、充実した4日間をこう振り返っている。
「自分も含めてまだ経験が少ない選手が多いので、少しでもチームとして、決まり事や狙いがある方が、全員が意思統一できる。それが今日の試合で出せたんじゃないかなと思います。
フランス戦後は、(熊谷)紗希さんを含めてみんなで映像を見て、こういうシーンはこうだったよね、という意見を交換することができた。フランス戦からドイツ戦まではみんなで集まって話す機会が増えましたし、意思統一ができた実感がありました」
「フランスとドイツはスタイルが違うし、相手の出方というか守備のパターンも違ったので、今日の試合だけで一概にうまくいった、とは言えない。個人的には(ドイツは)フランスより、パワー、スピードを出し切っていたとは思えなかったです。
それに、サイドを使って崩されながら最後は中に放り込まれてピンチに陥るというパターンは、自分たちが一番苦手としているところ。そこはもっともっと練習して、自分たちで対処法を見つけていかないといけないと思います」
先制しながらも53分に失点し、1-1となった後からの15分間は、生きた心地がしなかったろう。主導権を握られ、何度も失点のピンチを迎えた。こうした状況でどのようにまた自分たちのリズムを取り戻すのかというのも、ワールドカップを勝ち上がっていくうえで欠かせない要素になるはずだ。
選手たちの自主性について、たびたび言及している高倉麻子監督だが、試合後に改めてその必要性について口にしている。
「指示待ちではなく、ゲーム中に流れを変えていく選手が出てきて、だんだんとチームになって団結していくというのが、ワールドカップを戦う上で大事なことだと考えています。選手にもこういう話はしていましたが、今回の遠征で体験した厳しい試合を通じて、実感していると思います」
実際に、ドイツ戦で右SBで72分までプレーした清水も、充実した4日間をこう振り返っている。
「自分も含めてまだ経験が少ない選手が多いので、少しでもチームとして、決まり事や狙いがある方が、全員が意思統一できる。それが今日の試合で出せたんじゃないかなと思います。
フランス戦後は、(熊谷)紗希さんを含めてみんなで映像を見て、こういうシーンはこうだったよね、という意見を交換することができた。フランス戦からドイツ戦まではみんなで集まって話す機会が増えましたし、意思統一ができた実感がありました」
ワールドカップは短期決戦だ。その間に描くチームの成長曲線は大きな意味を持つ。過去の大会を見ても一戦ごとに修正し、成長できるチームがやはり強い。2011年ドイツ大会で初優勝を飾った時のなでしこジャパンはまさにそうだった。
あらゆる経験をポジティブに消化できる”伸びしろ”を持っているかどうか。この欧州遠征を通じて、高倉監督は選手たちの内包する”伸びしろ”の見極めに時間を使っているようにも見えた。
「最初のフランス戦が、あまりにも悔しい完敗だった。短い間でも危機感を持って、ドイツ戦までの間にみんなで話し合って修正した結果、今回のドイツ戦では、手応えがありました。
(ワールドカップで)高いところを目指すのは難しいですけど、こうやってワールドカップ期間中にチームが成長していければ、可能性はないわけではない。そう感じることができました。これから1か月ありますし、選手には、それぞれの課題とチームのやるべきことをしっかり伝えます。あとは、みんなが怪我なく過ごしてくれればいいですね」
指揮官は淀みなく言葉を紡ぎ、迷いはなかった。課題と収穫。様々なものを持ち帰り、時間をかけて分析して本戦へ挑むだろう。このチームに宿った可能性の芽が、本大会で大輪の花を咲かしてくれると信じて。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。