FC東京、逆転劇の真相。長谷川監督に残されていた余裕とヨンソン監督の苦悩

カテゴリ:Jリーグ

後藤勝

2019年04月06日

リードされているにもかかわらず、清水が二枚の交代にとどまったワケ

清水は鄭、北川が前線で奮闘。しかし終盤はFC東京にうまく抑え込まれてしまった。(C) SOCCER DIGEST

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 対して、悪い試合はしていないにもかかわらず、とうとう最下位に転落してしまった清水のヤン・ヨンソン監督は気の毒だった。苦虫を噛み潰すというよりは哀愁の漂う表情で「内容はいいものを見せながら得られるものがなかった試合だけに、選手としては受け止めるのも辛い結果になっていると思います」と、若い遠征メンバーを労わなければならなかった。
 

 負けてはいけない試合だったにもかかわらず、すべての交代カードを切ることはできなかった。ドウグラスと滝裕太の二枚だけ。ヨンソン監督は「ドウグラス選手を入れることによって空いているスペースを突いていきたかった。滝選手も入れましたが、ヘナト(アウグスト)選手のアグレッシブさを前線で見せてもらえればと思いました。ベンチにいたほかの選手はみな守備的でしたので……」と采配の意図を語ったが、最終的には攻撃のカードが残されていなかったことで、逆転への機運を高めるさらなる一手が打てなかったというわけだ。
 
 長谷川監督もヨンソン監督も、ともに理に適った采配をしていたが、田川亨介を最後の一枚に送り出す余裕のあった東京に対して、清水は最後の局面で展望を開きにくい状況に陥ってしまった。僅差のなかに明暗がくっきりと分かれた、花見の季節の好勝負だった。
 
取材・文●後藤勝(フリーライター)
 

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