“元バルサ”も苦労したガンバのハイプレスには、思わぬ盲点があった

カテゴリ:Jリーグ

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2019年04月01日

ハイプレスは後半に限界が。盲点だったのは……。

倉田とボランチコンビを組んだ高も、豊富な運動量を発揮。しかし、勝利に貢献できなかった。写真:山崎 賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 しかし、限界はきた。
 
 2-1で迎えた54分、右サイドをルーカス・ポドルスキに抜け出され、高がカバーするも当たり負けしてクロスを上げられる。中央でマークを外したダビド・ビジャがヘッドで合わせ、同点にされた。その後、ゴール前に侵入した倉田が遠藤保仁のアシストで勝ち越し点を決めるも、80分にはポドルスキのロングフィードを起点に古橋亨梧→田中順也の連係で再びタイスコアにされ、最後は3点目と同じコンビで89分に逆転弾を決められた。
 
 無残なまでの逆転劇に、改善点はいくつか挙げられるだろう。遠藤は良かった点を評価しつつ、次のように話した。
 
「良い形でリードできましたし、相手にもほとんどチャンスを作らせていなかったと思います。もちろん、チャンスがあるならリスクを冒していかないといけないです。ゲーム自体のバランスは崩さないように、というのを一番に考えていました。前に行ける時はあの展開でもアグレッシブに行くべきだと思います。それをやりすぎてバランスを崩すようであれば、中盤など、そういう選手がゲーム落ちつかせる役割になってくると思います」
 
 勝っているチームがボールを保持して試合の主導権を握り、時計の針を進めるのはひとつの手段としてあったかもしれない。バランスを保つための、攻撃面における選択肢だ。

 では、守備面のバランスはどうだったのか。決勝点はルーズボールの処理が遅れた藤春廣輝の個人ミスが直接的な要因だったが、2、3失点目は組織が崩れた問題点があった。
 
 2失点目の場面では、ボランチの高が右サイド深くのカバーを余儀なくされ、3失点目のシーンでは、最終ラインが高い状態だったが、前線からプレスをかけられていない。これでは、ポドルスキに正確なロングフィードを蹴らせてしまい、古橋に裏のスペースを突かれるのも当然だ。
 
 ダブルボランチの運動量は豊富だった。証拠として、倉田はこの試合で最高の数字である12.583キロを走っている。個々は奮闘したが2、3失点目に代表されるように、誰かがラインコントロールをしながら、守備のバランスを保てていたとは言い難い。
 
 90分間、強度の高いプレッシャーを前線から要求するのは難しい。堅守を築けるチームのほとんどは、CBかボランチに味方へ指示しながら守備を統率する選手がいるものだ。だからこそ、倉田は「CBとボランチ僕らがしっかりとやれば、勝っていけると思う」と言うのだろう。
 
 神戸戦の後半は、明確なディフェンスリーダーの不在が響いたのではないか。宮本恒靖監督はここからどんな修正を施すのか、注目だ。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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