僅差の勝負だったが、韓国戦は完敗だった。
手倉森ジャパンは着実に前進している。それは疑いようのない事実だ。ただ、その度合いは、繰り返しになるが、このチームにつきまとう『イラク』と『ベスト4』という命題を解決させるだけのパワーを持ち合せていなかった。自分たちが成長している一方で、他国も同じように力をつけてきているのは当然の話だ。結果だけで判断すれば、厳しい見方かもしれないが、世界大会行きを逃した2年前から、何も変わっていないということだ。
ひとつの指標となるのは、やはり準々決勝の韓国戦だろう。ギリギリのところで身体を張って失点を防ぎ続け、0-0でゲームを推移させられたが、相手のシュートミスにも助けられた部分はあった。バイタルエリアまでボールを運び、何度も惜しい場面を作りかけたが、決定機と呼べるものは77分の矢島のボレーのみ。その他では、韓国の隙のない組織的なディフェンスと個の強さの前に、チャンスらしいチャンスは皆無だった。
局面のインテンシティーで及ばず、グループ戦術でもスピードと力強さで後手に回った。相手の実力をリスペクトしたうえで、割り切って我慢の展開に持ち込んだチームにとって、最後の最後に決壊するのは最悪のシナリオである。残りわずかな時間でバッドエンドを書き換えるのは不可能に近かった。我慢しながらも、どこかのタイミングで形成を逆転するような策も十分ではなかった。
21歳以下の構成で挑んだ日本に対し、韓国は23歳以下+オーバーエイジを加えていたという事情はたしかにあった。0-1というスコアを見れば、僅差の勝負である。善戦した、という評価はできるかもしれない。しかし、印象としてはやはり完敗だったように思う。
隣国のライバルが浮き彫りにしてくれた若き日本代表の現実――。今のままでは五輪でのメダル獲得など夢のまた夢で、リオに到達することも難しいだろう。手応えを語るよりも、悔しさを噛み締めるよりも、課題と正面から向き合い、危機感を強く自覚しなければならない。それを怠れば、手倉森ジャパンの未来はない。
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
ひとつの指標となるのは、やはり準々決勝の韓国戦だろう。ギリギリのところで身体を張って失点を防ぎ続け、0-0でゲームを推移させられたが、相手のシュートミスにも助けられた部分はあった。バイタルエリアまでボールを運び、何度も惜しい場面を作りかけたが、決定機と呼べるものは77分の矢島のボレーのみ。その他では、韓国の隙のない組織的なディフェンスと個の強さの前に、チャンスらしいチャンスは皆無だった。
局面のインテンシティーで及ばず、グループ戦術でもスピードと力強さで後手に回った。相手の実力をリスペクトしたうえで、割り切って我慢の展開に持ち込んだチームにとって、最後の最後に決壊するのは最悪のシナリオである。残りわずかな時間でバッドエンドを書き換えるのは不可能に近かった。我慢しながらも、どこかのタイミングで形成を逆転するような策も十分ではなかった。
21歳以下の構成で挑んだ日本に対し、韓国は23歳以下+オーバーエイジを加えていたという事情はたしかにあった。0-1というスコアを見れば、僅差の勝負である。善戦した、という評価はできるかもしれない。しかし、印象としてはやはり完敗だったように思う。
隣国のライバルが浮き彫りにしてくれた若き日本代表の現実――。今のままでは五輪でのメダル獲得など夢のまた夢で、リオに到達することも難しいだろう。手応えを語るよりも、悔しさを噛み締めるよりも、課題と正面から向き合い、危機感を強く自覚しなければならない。それを怠れば、手倉森ジャパンの未来はない。
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)