香川真司 ルールダービーで見えた「現在地」

カテゴリ:ワールド

田嶋コウスケ

2014年09月28日

復調の兆しは見えるが、精度に波がある。

ドルトムントに復帰して1か月弱、香川の「現在地」は――。 (C) Getty Images

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 とはいえ、香川はドルトムントを救い出す切り札になりきれなかった。決定的な仕事ができなかったのは、一言で言えば、好調時のフォームをまだ取り戻せていないからだろう。マンチェスター・ユナイテッドに移籍した当初、英メディアがこぞって称賛した「Silky Touch(シルクのように柔らかいタッチ)」は、不遇だったそのイングランドでやや錆付き、トラップやボールタッチの繊細さは完全には戻っていない。
 
 例えば、ウカシュ・ピシュチェクの速いクロスをペナルティーエリア手前で受けながら、ボールが足につかずロストした59分の場面は、好調時の香川ならフィニッシュに持ち込んでいたはずだ。
 
 ドルトムント復帰初戦のフライブルク戦やシュツットガルト戦でも、ファーストタッチが弾んで相手にボールを奪われる場面があった。一方で、マインツ戦のようにシュート性の速い縦パスを華麗にトラップして反転、シュートに持ち込もうとしたシーンもある。復調の兆しは見えるが、その精度に波があるというのが、香川の「現在地」だろう。
 
 もちろん、怪我人が続出しているドルトムントの苦しい台所事情は無視できない。マルコ・ロイスやヤクブ・ブワシュチコフスキ、イルカイ・ギュンドアン、セバスティアン・ケールが名を連ねる故障者リストにヘンリク・ムヒタリアンが加わり、とくに中盤は手薄だ。チームがコンパクトさや連動性を失うのはいわば当然で、そうした状況のなかで香川が苦戦するのも無理はない。なかでも、パスの出し手でもあり受け手でもあるムヒタリアンの離脱の影響は小さくない。
 
 いずれにしても、香川がドルトムントの命運を握るキーマンであることに変わりはないはずだ。力強さと正確な読み、積極果敢な攻撃参加でダービーマッチの勝利に貢献したシャルケの内田篤人も試合後、香川について次のように話している。
 
「彼がピッチに入ると、ほかの選手の動き出しが早くなる。彼からパスが出てくると、周りのみんながそう理解している。信頼されているなと思う」
 
 敗北がよほど悔しかったのか、試合後の取材エリアに香川は姿を見せなかった。この経験をいかに糧にするか。ドルトムントの次戦は、4日後の10月1日、チャンピオンズ・リーグのアンデルレヒト戦だ。
 
取材・文:田嶋康輔
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