資質的に稀少価値を持つセンターバックは誰だ?
ただし2列目は日本のセールスポイントなので、さらに下からも突き上げが来ている。今シーズンは、FC東京で久保建英、鳥栖では松岡大起と2人の17歳がスタメンを確保。アマチュア時代から見る過去の記録破りの若年代デビューには、話題作りの意味合いもあったが、この2人は紛れもなく指揮官にとって替えに効かない存在になっている。もともと技術、判断水準では大人を凌駕していた久保は、対戦相手など条件を考慮して招集しても良い時期が近づいているが、鳥栖のカレーラス監督も「松岡を早く代表監督に見に来てほしい」とアピールした。また欧州移籍をした伊東純也が出場機会確保に苦しむようなら、同じくスピードが武器の仲川輝人に面白い味付けを期待できるかもしれない。技術的には粗さが残るがアジリティは際立っているので、状況打開が求められる展開でのワンポイント起用なら有効な手札になりそうだ。
そしてDFに目を転じれば、190センチでレフティと資質的に希少価値を持つ町田浩樹が推奨株。歴史的にもセンターバックの熟成には定評のある鹿島が、本腰を入れて育てる様子なのも重要なポイントだ。ただしこのポジションは、過去に例を見ないほどの豊作状況にあり、冨安に続き板倉滉、中山雄太も欧州進出を果たしており、ボランチも含めて層の厚い激戦区に変貌している。逆に手薄なのが両サイドバックで、酒井宏樹を室屋成が追う右はともかく、深刻なのが左の人材不足。攻守にバランスの取れたレフティが望ましいが、センターとサイド双方の事情を考慮すれば、どこかで3バックとの併用に踏み切る時期が訪れるのかもしれない。
文●加部 究(スポーツライター)
文●加部 究(スポーツライター)