「観客数が減っているのは、各クラブのキャスティングがつまらなくなったから」(セルジオ越後)

メディアは「海外組」というブランドを作り出す一方で、Jリーグにはそうした文化がないと越後氏。先頃の武藤や柴崎の活躍は、Jリーグへの風向きを変える起爆剤となるか。(C) SOCCER DIGEST
越後 僕はね、スピード感のない試合にお客さんが苛立つこともあるかもしれないけど、観客の数が減っている最大の理由は、各クラブのキャスティングがつまらなくなったからだと思うんです。今のJリーグにはスター選手がいない。だから、民放が放送したがらないでしょ? 代表戦はやりたいのに。
そしてなぜJリーグからスター選手がいなくなったかというと、それはサッカー界がエージェント時代になったからですね。エージェントがビジネスをするために、好きなように選手を動かす。海外移籍が多くなったのは、実力だけじゃない。彼らは選手を海外に連れて行かなければ、飯が食えないから。これは日本だけでなく、ブラジルでも起きている問題ですね。
そこにJリーグの、親会社の予算社会という体質が重なった。景気が悪くなったら、予算を削る。一度削った予算は景気がよくなっても戻ってこない。サッカーに限らず、プロスポーツが魅力あるものになるかどうかは、キャスティングにかかっている。スター選手がいれば、多くの人が観に来るんです。
今のJリーグには、たくさんの「元海外組」がいる。出て行った時は輝いていたのに、帰ってきたら光が消えてしまう。それはメディアにも責任があるんだけど、メディアはビジネスですから売るために彼らをスターにしている。そこにも、ヒントは隠されてますね。国内でメディアと一緒になって、どうやってスター選手を作るか、というね。
村井 そうですね。スポーツ新聞を見ても6面くらいがプロ野球で、Jリーグは1面か2面という状態が近年は続いている印象です。
越後 Jリーグの発足当初はあれだけのブームになったし、けっこう紙面を割いていたのにね。つまり、メディアは売れる選手がいなかったらスペースをくれない。同じサッカーでも、今は海外組というブランドがあって、読者の興味を惹けるからスペースを増やすし、その効果で選手の好感度が上がって代表チームばかりが潤う。でも、Jリーグにいる選手をスターにする文化が日本にはないですね。
村井 プロデュースの仕方については、我々がもっと知恵を出さなきゃいけないなと思います。今回のワールドカップメンバーに国内から11名が選ばれて、最後に大久保が招集されたことで国内は非常に沸きましたよね。
昔は海外クラブに対する憧れというか、実力を上に見る傾向もあったと思うんですが、国内の選手でもコンディションが良ければワールドカップで堂々とやれるじゃないかと。自分のクラブから代表選手を生み出す喜びや国内にいる選手に期待する声が、昔に比べると少しずつ上がっているのは良い兆候ではないかと私は思っています。
越後 僕は、海外に行ったから選手が上手くなったとは思わないんです。日本人同士で争ったら、その時点でどっちが優れているかなんて分からないし、メディアが海外組を持ち上げているだけ。中田英寿の時代から、ビッグクラブでは絶対的な存在になれないんだから。みんな中小クラブに行って、ダメなら日本に帰ってくる。でも、それは恥ずかしいことじゃない。
なのに、メディアがそれ以上のものを作って煽っている。本田はミランのエースだ、とかね。でもこれは違う。ヨーロッパのクラブは今、アジアのマーケットをすごく重視していて、選手を広告塔としても利用しようとしている。でも、それがプロというものだし、そこに気付かなければいけないですね。
そしてなぜJリーグからスター選手がいなくなったかというと、それはサッカー界がエージェント時代になったからですね。エージェントがビジネスをするために、好きなように選手を動かす。海外移籍が多くなったのは、実力だけじゃない。彼らは選手を海外に連れて行かなければ、飯が食えないから。これは日本だけでなく、ブラジルでも起きている問題ですね。
そこにJリーグの、親会社の予算社会という体質が重なった。景気が悪くなったら、予算を削る。一度削った予算は景気がよくなっても戻ってこない。サッカーに限らず、プロスポーツが魅力あるものになるかどうかは、キャスティングにかかっている。スター選手がいれば、多くの人が観に来るんです。
今のJリーグには、たくさんの「元海外組」がいる。出て行った時は輝いていたのに、帰ってきたら光が消えてしまう。それはメディアにも責任があるんだけど、メディアはビジネスですから売るために彼らをスターにしている。そこにも、ヒントは隠されてますね。国内でメディアと一緒になって、どうやってスター選手を作るか、というね。
村井 そうですね。スポーツ新聞を見ても6面くらいがプロ野球で、Jリーグは1面か2面という状態が近年は続いている印象です。
越後 Jリーグの発足当初はあれだけのブームになったし、けっこう紙面を割いていたのにね。つまり、メディアは売れる選手がいなかったらスペースをくれない。同じサッカーでも、今は海外組というブランドがあって、読者の興味を惹けるからスペースを増やすし、その効果で選手の好感度が上がって代表チームばかりが潤う。でも、Jリーグにいる選手をスターにする文化が日本にはないですね。
村井 プロデュースの仕方については、我々がもっと知恵を出さなきゃいけないなと思います。今回のワールドカップメンバーに国内から11名が選ばれて、最後に大久保が招集されたことで国内は非常に沸きましたよね。
昔は海外クラブに対する憧れというか、実力を上に見る傾向もあったと思うんですが、国内の選手でもコンディションが良ければワールドカップで堂々とやれるじゃないかと。自分のクラブから代表選手を生み出す喜びや国内にいる選手に期待する声が、昔に比べると少しずつ上がっているのは良い兆候ではないかと私は思っています。
越後 僕は、海外に行ったから選手が上手くなったとは思わないんです。日本人同士で争ったら、その時点でどっちが優れているかなんて分からないし、メディアが海外組を持ち上げているだけ。中田英寿の時代から、ビッグクラブでは絶対的な存在になれないんだから。みんな中小クラブに行って、ダメなら日本に帰ってくる。でも、それは恥ずかしいことじゃない。
なのに、メディアがそれ以上のものを作って煽っている。本田はミランのエースだ、とかね。でもこれは違う。ヨーロッパのクラブは今、アジアのマーケットをすごく重視していて、選手を広告塔としても利用しようとしている。でも、それがプロというものだし、そこに気付かなければいけないですね。